2016.10.09

連結会計

開示・連結決算

事業管理

製品別顧客別採算管理

DivaSystem LCA

DivaSystemの利活用で役員層への月次報告を“7日間”短縮。財務経理から能動的な“連結ベース”の「売りたい商品」「取り組むべき事案」の提案を実現

ショーワグローブ株式会社

ショーワグローブは、家庭用・作業用・産業用手袋の専業メーカーだ。

1954年、塩化ビニール製オール被膜タイプの手袋を世界で初めて開発し、以降「人の真似をしない」というポリシーのもと、手袋業界のトップを走り続けている。1990年代のグローバル化以降、月次の連結決算を行うようになっていたが、その結果は必ずしも経営の意思決定にはつながっていなかったという。

管理本部 財務経理グループ グループリーダーの岡本健一氏は次のように話す。

  • 導入前の課題

    • 報告データの不足

    • 月次の連結決算において、情報の不足が課題に。当初は生産拠点ごとの大まかな損益や、拠点ごとの在庫金額の把握にとどまっていた。

    • 多大な業務負荷

    • 関数や数値の調整に膨大な工数がかかっており、Excelでの集計が限界に。

    • 報告スピード

    • 経営層への月次レポート提出に20営業日ほどかかっており、スピードアップを求められていた。

    • 属人化

    • 業務が担当1名に属人化。海外出張先で作業をすることも。

  • 導入効果

    • 報告データの充実

    • 約7,000品目のグループ会社の明細データをDivaSystemへ取り込み、損益や在庫を品目グループで把握して詳細なレポート作成が可能に。

    • 業務負荷の削減

    • 手動で行っていたデータの組み替え・集計・レポーティングをDivaSystemにより自動化。データ精度も向上。加えてSAP®導入子会社では報告そのものが不要に。

    • 報告スピードの向上

    • データ収集からレポート提出まで7日間短縮。毎月半ばの経営層への提出を実現。

    • 属人化排除

    • 3名体制で分担して作業できるようになり、属人化が解消。

    • +αの付加価値

    • 連結ベースで製販・経営などの意思決定へつながるデータの提供が可能に。

【導入の経緯】経営環境の変化から月次の連結決算に取り組むが
Excelでのタイムリーな対応が限界に

「創業以来、業績も資金運営も比較的順調でしたが、経営の意思決定は必ずしも連結ベースのデータを基に行われていたわけではありませんでした。実際に、マレーシア、ベトナム、ミャンマーなどのアジア圏、また北米や欧州にも拠点を設けるなど、グローバル展開を進めるにつれて、グループ全体の状況は見えづらくなります。同じ商品を複数の拠点で販売していても、月次で把握できていたのは大まかな損益情報(PL)と生産工場ごとの在庫情報程度で、連結ベースで見た際に何が売れ筋で、どの商品がどれだけ儲かっているのか、といったところまでは見えていなかったのです。」

当初、経営判断のための月次の連結決算はすべてExcelで行っていたが、業務は1名の担当者に依存しており、スピードや体制には業務上さまざまな課題があったという。管理本部 財務経理グループの岩佐泰志氏は次のように話す。

「もともと管理本部として、経営判断に使える、より精度の高いデータをスピーディに出していくという目標がありました。しかし、私が一人で集計作業を行っていたこともあり、月初から各社で月次決算を行い、各社から手動でデータを集め、経営層へ提出するレポートとしてまとめ上げるには20営業日ほどかかってしまっていました。Excelでの手動の集計のため連結処理の精密さも限界があり、データもPLのみでした。また、業務が私一人に完全に属人化してしまったのも問題でした。時には休日返上で対応したり、海外出張の際には深夜に現地のホテルで作業を行ったりすることもありました。」

【選定・導入】年次の連結会計で運用していたDivaSystemにSAP®の7,000品目のデータを連携させることで作業フローを自動化

同社は年次決算でDivaSystemを利用しており、これを生かして月次の連結決算の課題を解決できないかと考えた。そこで、DIVAの担当者に実現したいことを伝え、打ち合わせを繰り返しながら新しい業務プロセスを構築していったという。結果として、SAPとDivaSystemのデータを連携することで、業務プロセスのほとんどを自動化することができたと岩佐氏は話す。

「以前は各社からExcelファイルでデータを受け取り、集計用のExcelフォーマットにコピー&ペーストをしていました。その際、関数や数値など手作業での調整が必要な部分があり、どうしても時間と手間がかかっていました。新しい仕組みでは、SAPから出力した会計データや約7,000品目の売上データをそのままDivaSystemに取り込み、データの組み替え・集計・レポーティングをシステムで自動化しています。DivaSystem上では、製品品目を生産地別等の大きなくくりから、品目別の細かなレベルまで4段階でセグメント化できるようにしていて、この変換の仕組みはDIVAの協力を得ながらまとめていきました。具体的には、変換ルールの基となるSAPのマスターデータをDivaSystemにコピーするだけなので、品目が増えた際にもメンテナンスが容易な運用を実現できています。Excelで行っていたときの個別の調整やメンテナンスと比較すると大幅に簡易化され、期待したものが出来上がったと感じています。」

プロジェクトは2015年7月ごろからスタートし、SAP上のデータをDivaSystemへ正しく取り込めているかの確認と修正などを含めて約8 ヵ月で完了。2016年2月から本番運用を行っている。SAP側は仕様を一切変更せず、DivaSystem側のカスタマイズで対応したことにより、比較的短期間で実現できた。双方の連携で大変な部分はほとんどなかったという。

【導入効果~今後の展開】レポート提出まで7日間短縮し、属人化も解消連結ベースの分析で「本当に儲かっている商品」の把握へ

月初から提出まで20営業日ほどを要していたレポート作成業務は、現在では13営業日程度に短縮され、月半ばには経営層へデータを示せるようになった。従来からの損益計算書(PL)に加えて貸借対照表(BS)も同時に提出し、タイムリーな意思決定に役立てられている。SAPを運用しているグループ5社のデータは入力済みのものをそのまま本社側で取得するため、各社が個別に資料を作成する必要がなくなり、業務負担も削減されることとなった。

同社が生産・販売している手袋の品目は細かく分類すると7,000以上とそもそものデータ量自体が膨大だが、現在ではデータの取得を数人で分担でき、DivaSystemへの登録まで半日ほどで終えられる体制となったことで課題だった属人化も解消されている。多数の品目の詳細なデータを月次でまとめて、従来とは異なる視点から売上、利益の状況を把握できるようになったと岡本氏は話す。

「どの製品が儲かっている・儲かっていない、これは廃番にする、といった判断は、どうしても各社単体の数値や特有の“勘”に頼る部分が多かったのですが、今回からは明確な連結ベースのデータがあるので、事実を基に議論が進められるようになりました。ある会社単体から見ると赤字のアイテムであっても、連結で見たら利益が出ていることが数値で明らかになったり、グループの一番の稼ぎ頭が今までの“勘”とは異なっていたりと、連結視点で初めて気付くことができたことも多く、経験則からくる“思い込み”から脱却できたことは大きなメリットです。」

社内の雰囲気も少しずつ変化してきていると岩佐氏は話し、今後も継続して取り組むことに意欲を見せる。

「営業部門の月報や週報などに連結ベースで利益を考えようといったフレーズが出てくるようになったりして、社内の意識付けも少しずつ進んでいるように思います。製品ごとの売上・粗利・粗利率をABCの3段階でランク付けしていますが、そうして全体を俯瞰して捉える作業を通して、グループとして売っていきたい商品やコストダウンが望まれる商品などが分かってきました。これらのデータは他部門と連携し現場でも活用していきたいと思っています。また連結ベースでの仕入れ商品の重要性も判明し、リスク管理は十分できているのか?といったことをレポートにコメントとして付与したりしています。データとしての蓄積はまだ2年分ほどなので、これからも蓄積していくことでより説得力が高まっていくでしょう。今後SAPを導入するグループ会社が増えていけば、連結対象の範囲も広げていきたいですね。」

初期の相談からデータ検証、運用支援までDIVAの対応はしっかりしていたと、岡本氏、岩佐氏とも満足しており、引き続き支援をお願いしたいと話す。

「プロジェクトは大きな問題はなく、かなりスムーズに進んだと思います。SAPの導入などに比べると規模が小さかったということはありますが、こちらからの問い合わせにも迅速に回答いただけましたし、技術的なサポートの面でも安心できました。これからもぜひよろしくお願いいたします。」

※取材年月 2016年10月
※文中に記載されている数値など情報は、いずれも取材時点のものです。SAP®はSAPの登録商標または商標です。
※本記事は当社商号が「株式会社ディーバ」当時に作成されたものです。

会社名:ショーワグローブ株式会社
設立:1954(昭和29)年10月
本社所在地:兵庫県姫路市砥堀565
事業内容:家庭用・作業用・産業用各種手袋の製造・販売、クリーンルーム用各種手袋の製造・販売、環境調和型手袋の製造・販売
従業員:333名(男性217名/女性116名:2016年12月31日現在)、連結従業員5,200名
グループ会社数:17社
資本金:4,860万円
売上高:393.2億円
URL:https://www.showaglove.co.jp/


導入製品

※導入製品についてのお問い合わせは、「お問い合わせ」からお願いいたします。

お問い合わせ

フォームに必要事項、ご相談内容をご記入ください。担当者よりご返信いたします。