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グループ経営管理
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開示・連結決算
DivaSystem LCA
属人化したExcel管理からの進化 ~連結会計システム DivaSystem LCAの導入による経営管理~
ダイセーホールディングス株式会社/Daisei Holdings Corporation
ダイセーホールディングス株式会社は、運送・倉庫事業を主にダイセーグループ44社の統括運営を行っています。連結での従業員数は7,300名以上、年商850億円規模を誇るグループでは、各社の連結決算業務をExcelメインで行っており、作業の属人化や非効率な運用が課題となっていました。
経営管理の質的向上を実現するために、連結会計システム「DivaSystem LCA」を導入し、データ収集から連結処理、帳票出力まで一連の業務の効率化を図っています。
システム導入を決断するまでの経緯や現場にもたらされた効果、そして今後の展望についてお話をお聞きしました。
ダイセーホールディングス株式会社
取締役 加藤 健太 様
執行役員 経理財務team Leader 深澤 孝文 様
経理財務team 倉出 拓馬 様
写真左から:倉出様、深澤様、加藤様
所属・役職は取材当時のものです
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導入前の課題
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Excelによる非効率な連結決算業務
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前任の属人化した複雑なマクロを使用、業務の引継ぎが困難
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Excelファイルの重さによるフリーズや参照エラーが頻発
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各社へのデータ収集と確認作業に多大な時間を要していた
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導入効果
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DivaSystem LCAによる業務効率化とデータ活用
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個社のデータ収集・データチェックを自動化し作業効率がアップ、業務の属人化も解消
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通常、2日間かかっていた連結処理を1時間に大幅短縮
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帳票出力の自由度向上により、金融機関への提出資料の質が改善
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経営情報の見える化により戦略的な意思決定がよりスムーズに行えるようになった
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グループ内で高まっていた連結経営管理の効率性
――まず事業概要をお聞かせください。
加藤様 当社は物流業界で事業を展開するグループ企業です。グループ全体44社で7,300名を超えるCrew(従業員)がおり、年商は850億円まで成長しています。
グループ内は、事業内容に応じてA~Dグループの4つに分類されています。Aグループはチルド、Bグループは、自動車部品をはじめとする工業製品、Cグループはアパレルや菓子類など、それぞれの事業領域に求められる物流サービスを展開しています。当社、ダイセーホールディングスはDグループに属しており、グループ全体のコンサルティング・統括・運営を担当。連結会計処理もこのDグループで行っています。
現在の会社の体制は2年前に確立されたものです。それまで個々の株主による保有だったものを事業再編し、社長主導で事業別のグループ分けを明確化しました。M&Aなどによってグループ規模が拡大する中、連結ベースでの経営管理の重要性が高まっていましたが、体制が十分に整っていないことが大きな課題となっていたのです。
―連結経営管理における課題を具体的にお聞かせいただけますか?
深澤様 以前はExcelで連結決算を行っていたのですが、多くの課題がありました。ファイルが非常に重く、フリーズする事態が頻発したり、参照先でエラーが発生したりするなど、作業効率が著しく低下していました。
さらに、最も深刻だったのが業務の属人化です。それまでの連結決算業務の担当者が退職し、残されたExcelファイルには複雑なマクロが組み込まれていました。どのような規則性や手順で自動化しているのか理解することも、数値の正確性を確認することも困難な状況でした。
―データ収集の面ではいかがでしたか?
深澤様 各社に配布する独自の入力用パッケージが非常に分かりにくく、データを入力する側にも多大な負荷がかかっていました。また、提出されたデータの整合性チェックにも工数が生じ、本来行うべき連結決算の分析的な作業までなかなか手が回らない状況でした。
加藤様 月次で行う連結作業に担当者1人が3~4日はかかる状態でしたので、なんとか改善を図りたいと考えていました。そこでシステム導入を提案したのが深澤だったのです。彼は、前職で連結会計システムの活用経験があったため、導入によって得られる効果やメリットを実体験をもとに経営陣にも伝えることができました。
過不足のない「DivaSystem LCA」の標準機能が魅力だった
―「DivaSystem LCA」を導入するまでの、システム選定の過程についてお聞かせください。
深澤様 他のシステムとも比較検討する中で、DivaSystem LCAを選んだ最大の理由は、機能面の充実です。特にデータ収集機能「DivaSystem EIGS(DivaSystem LCAのデータ収集モジュール)」とレポーティングツールである「DivaSystem Formula-X(DivaSystem LCAの帳票モジュール)」が標準装備されていた点を非常に高く評価しました。
実は以前に勤務していた会社でDivaSystemを使用していた経験があり、機能面や導入による業務効率の実現性は十分理解していました。当時はオプションだった上述の2つの機能が標準搭載されたことで、データの迅速な収集と、アウトプットの柔軟性を求めていた我々のニーズによりマッチしたと感じています。
―システム導入にあたって、経営層としての判断基準はどのような点でしょうか?
加藤様 経営側からすると、投資対効果、コストパフォーマンスを注視していたのは当然です。非上場の当グループには厳密な開示義務はなく、グループ会社の間では連結業務に対する理解に温度差があったのも率直なところです。しかし、今後はより連結を重視し、グループ一体となった経営判断を行っていきたいと考えていましたので、長期的なシステムの活用を見据えた投資だと捉えました。
連結経営管理の経験がある深澤を中心に、グループ会社の現場にも負担をかけず、もちろん当社の経理部がスピーディかつ低ストレスで業務に取り組める状態を作り上げてほしいと要請しました。
深澤様 導入に向けては、当社の代表も交えて何度も打ち合わせを重ねて、コスト面での納得感が得られるように努めました。時にはアバントさんにも打ち合わせに加わっていただき、連結決算によってグループの力を最大限に引き出す重要性、グループの結束を高めるための有効性を理解してもらうことで、システム導入費用や移行にかかる労力だけでなくランニングコストも含めて相当であるという最終判断が得られたのではないかと思います。
適切なサポートのもと導入に向けた地道な作業を完遂できた
―導入プロジェクトを進める中での不安や課題はありましたか?
倉出様 これまでExcelで管理していた数値をシステムに移行する際、本当に正しく移行できるのか、検証作業が心配でした。当社内で長年にわたって利用されてきたExcelは、グループ会社別にシートが分かれており、その表記方法は統一されていません。シート名には数字のみ振られていて、中身を開けてようやくどの会社のデータか特定できる状態であり、膨大な時間がかかっていました。
深澤様 システム導入にあたっては、グループ全体の会計基準の統一や処理方法の標準化なども必要となります。倉出は、会計の基礎知識もしっかり身についていましたが、だからこそ学生時代に学んだ定型的なフォーマットとの違いに戸惑った部分もあったと思います。当社に限らず、Excelに頼った属人的業務を行っている組織では、同じような課題があるはずです。
倉出様 私は今回、システム導入の準備作業を通じて、なぜその処理が必要なのか、どういう考え方に基づいているのか、体系的に理解できました。細かな仕訳作業やルール適用、過去の情報を整理する大変さはありましたが、導入によってどれぐらい生産性が向上するか想定できていたので、その未来の姿をイメージしながら準備作業に取り組みました。
―アバント社のサポート体制についてはいかがでしたか?
倉出様 非常に手厚いサポートをしていただきました。質問へのレスポンスが早いのはもちろん、担当者が不在の際は他のメンバーが即座にフォローしてくれる体制が整っていました。マニュアルも非常に充実していて、基本的な操作は自分たちで確認しながら進められました。
深澤様 特に良かったのは、年4回の定期的なフォローアップミーティングを設定していただいた点です。システムの運用方法だけでなく、連結決算業務全般についても相談できる機会があることで、安心して導入を進めることができました。
2日かかっていた連結処理を1時間程度まで短縮
―システム導入後、具体的にどのような変化がありましたか?
深澤様 作業時間の短縮が顕著な変化です。例えば、以前はデータが揃ってから連結処理まで2日ほどかかっていましたが、現在は1時間程度で完了します。さらに、整合性のチェックもシステムが自動で行ってくれるため、ヒューマンエラーも大幅に減少しました。
また、連結仕訳を手作業で行っていたため、二重入力や確認作業にも多くの時間を要していましたが、現在は自動連結仕訳機能により、そのような手間も時間も削減できています。
倉出様 各社からのデータ収集も、以前は個別にExcelファイルをやり取りしていましたが、今はシステム上で一元管理できるようになりました。エラーや転記ミスもなくなり、作業の精度が格段に上がりましたね。
加藤様 経営管理の観点からすると、タイムリーな経営情報の把握が可能になった点が大きいと感じています。以前は決算数値の確定に時間がかかり、経営判断のタイミングが遅れることもありましたが、現在は迅速な意思決定が可能になっています。
―アウトプットの面での評価はいかがですか?
深澤様 特に金融機関向けの資料作成で高評価をいただいています。「非常に分かりやすい」というお褒めの声を多くいただき、グループの信用力向上にも貢献していると感じています。
倉出様 帳票出力において、自由度が高く、必要な情報を必要な形式で出力できるようになった点も大きな進歩です。以前はExcelで個別に加工していた資料も、システムから直接出力できるようになりました。
加藤様 金融機関との折衝の際も、連結ベースでの正確な財務情報をタイムリーに提示できるようになり、より戦略的な対話が可能になりました。グループ全体の与信枠の拡大にも繋がる可能性が出てきたので、経営面での効果も実感しています。今後は各社が向き合っている金融機関からも評価をいただけるので、ホールディングスだけではなく、グループ全体での恩恵があるのではと考えています。
連結ベースでグループの総力を経営に活かしたい
―今後の活用についてはどのようにお考えですか?
深澤様 現在は基本的な連結決算業務での活用が中心ですが、今後はセグメント分析やシミュレーション機能なども積極的に活用していきたいと考えています。経営判断により有用な情報を提供できるよう、システムの機能を最大限に活用していきたいですね。
加藤様 グループ各社の経営陣に対して、連結ベースでの経営指標をより分かりやすく提示できるようになれば、グループ経営の質も一段と向上すると期待しています。
連結決算の精度が上がったことで、グループ全体の与信管理や資金調達など、スケールメリットを活かした戦略的な経営が可能になってきました。
―非財務情報の活用についてはいかがでしょうか?
深澤様 現在、月次の管理システムで燃料単価や顧客別売上高TOP20など、様々な非財務情報も収集しています。今後は中期経営計画にもこれらの情報を組み込み、より総合的な経営管理を目指していきたいですね。
―最後に、グループ経営の展望についてお聞かせください。
加藤様 私たちは「ダイセーグループの羅針盤を目指し、New FrontierにChallengeする」をビジョンとして掲げています。新規事業への挑戦や投資などにも取り組み始めています。そのためにも、経理部門としての専門性を高め、M&Aなどにおいても、自力で迅速かつ正確に検討できる体制を整えていきたいと考えています。
各社の顧客満足度向上はもちろん、クルーの成長支援、SDGsへの取り組みなど、社会貢献も重要なミッションです。正確な経営管理体制を基盤に、これらの取り組みを着実に進めていきたいと思います。
会社名:ダイセーホールディングス株式会社(Daisei Holdings Corporation)
設立:2010年11月
本社所在地:〒102-0093 東京都千代田区平河町1-7-10 大盛丸平河町ビル2階
事業内容:ダイセーグループコンサルティング・総括・運営
連結子会社 39社(うち海外 4社)
非連結子会社 5社(うち海外 1社)
資本金:10,000,000円
URL:https://www.daiseihd.co.jp/
※2024年10月 取材当時の情報です