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海外統括会社のサブ連結情報もタイムリーに取得~DivaSystemの活用によるデータの信頼性向上と属人化の解消~
JA三井リース株式会社/JA MITSUI LEASING, LTD.
JA三井リースグループは、大企業から中小企業まで様々な法人を顧客とし、情報通信分野、不動産分野、農業関連、運輸や船舶業など幅広い業種にリースやファイナンス、投資等を通じて多角的に総合金融業務を行っています。グループには、SPC(特別目的会社)も含めて国内外に約80社の子会社・関連会社がありますが、拡大する海外ビジネスに関してサブ連結が必要な連結子会社からのデータ収集の手間や組み上げ作業の効率化が長年の課題となっていました。
2023年、DivaSystemのサブ連結機能を新たに導入し、月次決算のサブ連結にかかる業務を大幅に削減できたほか、経営判断の材料となる連結情報の早期収集にも役立てています。
グループ全体の連結業務を担う経理部の方々に、導入までの経緯やプロセス、導入後の効果についてお話をお聞きしました。
JA三井リース株式会社
経理部 部長 長島 直樹 様
経理部 決算統括室 担当室長 能村 幸次郎 様
経理部 決算統括室 兼 グループ営業経理室 室長代理 西山 高弘 様
写真左から:西山様、長島様、能村様
所属・役職は取材当時のものです
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導入前の課題
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新たに傘下へ加わったアメリカの子会社に連結業務のノウハウが不足していたため、本社経理部での対応を余儀なくされていた
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中間持株会社の設立により、連結作業がさらに複雑化する一方で子会社から提出される情報が不足しており、非効率な作業となっていた
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Excelでの作業が中心でミスのリスクがあるほか、属人化していた
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導入後の効果
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子会社側で連結作業ができるようになり、経理部側で3~4日かかっていた月次の業務量が確認作業に注力することが可能となり、1~2時間程度にまで大幅軽減できた
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システム化により、データの正確性と信頼性が向上した
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属人化が解消され、複数人で対応できる体制になった
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将来的な管理会計への活用の可能性が広がった
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サブ連結のノウハウが不足している海外子会社の代わりを担う
――リース会社の経理業務について教えていただけますか
長島様:リース会社の経理業務は、一般的な企業と比べてかなり複雑だと言えます。取引の種類が多様で、物品のリースと金銭のローンでは会計処理の考え方が異なります。また、1つの取引が比較的長期にわたるため、何年間にも跨った会計処理が必要となります。
リース会計基準はもちろん、収益認識基準や金融商品会計基準など、ビジネスの内容によって適用する会計基準が異なるため複数の会計基準に関する知識が求められます。
能村様:さらに国内だけでなく、海外取引も加わると、国ごとに消費税や源泉課税などのルールが異なります。 また、移転価格税制(海外の子会社との取引が妥当な金額で行われるように計算する義務が生じる)の対応も必要です。
弊社は子会社が80社あるため、連結決算にも相応の労力がかかります。
――新たに傘下に加わった米国子会社の決算業務には特に労力がかかっていたそうですが、これはなぜでしょうか?
西山様:いくつか特殊な事情が重なったので、非常に苦労をしていました。サブ連結の対象となる新たな企業をアメリカで買収しましたが、その後の組織再編で中間持株会社を設立したため、当グループにサブ連結対象として加わる事例として初めてのケースだったのです。
中間持株会社が米国内で連結作業をし、連結精算表の状態でDivaSystemに入力してもらう流れが理想ですが、当時、米国側にはサブ連結に関するノウハウが不足していたため、やむを得ず本社の経理部が代行して数字を取りまとめる必要がありました。
能村様:米国側が未経験であるがゆえに、情報の取得が難しくサブ連結に必要な情報の提出を求めても時間を要する状態が続いていました。
――本社としては、それでもサブ連結を行わなくてはなりません
長島様:子会社の立場からすれば、サブ連結は本社側の都合によるものです。したがって、最終的にはこちらで責任を負うしかありません。
システム導入前は、Excelを使った手作業に頼っていました。時間もかかりましたし、ミスのリスクも高かったです。1か月のサブ連結作業には、担当者1人が3~4日かけている状況が続いていました。こうした作業は属人化しやすく、さまざまな関数やマクロを使って、専任で業務にあたっていました。
脱・属人化を掲げてシステムの導入を決意
――そうした業務フローを変えようと思ったのはなぜですか?
西山様:まず大きかったのは、属人化リスクです。
前述の通り、複雑な手作業が多かったため、担当者の異動や退職により、ノウハウの維持が難しいという課題を抱えていました。
次に、精度の問題がありました。Excelでの手作業なので、どうしてもミスが起きやすい。また、米国側の監査済みの財務諸表の数字と月次で報告を受けている仮決算の数字が一致しないこともありました。
あまりにも負担が多く非効率な状況を改善するため、やはりシステムの導入によって解決を図りたいと感じていました。
――そんな折にアバントが主催するウェビナーに参加いただきました。感想はいかがでしたか?
西山様:「グローバル化に伴う海外拠点の業務プロセス構築・ガバナンス強化」というテーマでしたが、ここで初めてDivaSystemが海外子会社のサブ連結に対応できることを知りました。以前からDivaSystemを利用していた弊社としては、すぐに興味をもって問い合わせしたことを覚えています。
具体的に提案を受けると、子会社に特別な作業を求めなくても連結業務が実行できるようになる点は特に魅力的だと感じました。米国側の協力を得るために、トレーニングもしっかり行うこと、さらにアバントさんが全面的にサポートしてくれると聞き、導入に向けて検討が始まりました。
きめ細かなサポートとトレーニングの実施で予想よりスムーズに導入を実行できた
――導入プロセスにおける課題、またそれに対してどう取り組んだかを教えてください
西山様:当初、最も苦労したのは、試算表と監査後の財務諸表との整合性についてです。監査済みの財務諸表の数字が最も信頼性の高いデータと考えていましたが、しかしそれらと子会社から受領していた試算表の数字に乖離がありました。
直接、監査法人に問い合わせて、どのような決算調整があったか、どのように科目組み替えを行ったのかを詳しくヒアリングしました。もちろん、子会社の試算表の作成プロセスもチェックして、両者の違いを丹念に紐解いていきました。
決算調整が子会社の試算表に反映されていないケースがあるとわかるまでには、かなり時間を要しました。
能村様:導入プロセスにおけるアバントさんの手厚いサポートには、とても感謝しています。米国との時差も考慮しながら、アバントと弊社と3社でのミーティングを定期的に行ってもらえました。
子会社向けのトレーニングは、アバントさんが主体となって英語でトレーニングを行い、その後に細かな質問が寄せられた際にも、すべて丁寧に回答を返してくれました。そのおかげで、弊社が想定していた時期よりも早く、子会社が自立して操作できるようになったのです。
――導入による効果についても解説ください
能村様:子会社にとって、業務フローに大きな変更がないことは非常にメリットでした。データを変換する特別な作業は不要で、彼らは従来通り、自社の会計システムで日々の会計処理を行い、月次で試算表を作成します。そして、その試算表のデータをDivaSystem LCAに流し込むだけで作業は完了します。こうしたシンプルな流れなので、グループ合流以降こちらが行っていたサブ連結業務も子会社側に移行できることとなりました。
これも、子会社側の会計システムから出力される試算表をそのまま DivaSystem EIGS(DivaSystem LCAのデータ収集モジュール)に貼り付けられる仕組みを作ってもらえたことが大きかったと思います。子会社が日常的に使っている勘定科目体系を親会社の連結決算用に変更する必要もありません。
西山様:そして本社側には、まず作業時間の大幅な削減が実現したことが最大の成果です。1か月のサブ連結作業に3、4日かかっていたものが、1~2時間程度で終わるまで圧縮できました。
従来はデータの正確性が十分とは言えませんでしたが、財務諸表作成の流れを調べ上げた結果、財務諸表作成時における決算調整を子会社側の試算表に反映していないケースがあることが判明しました。
今回、システム化にあたって、子会社の試算表をベースに財務諸表作成時の調整を加えて残高立ち上げを行ったことで、サブ連結のためのより正確な基礎データを作成できるようになりました。Excelの手作業がシステムに置き換わった分、入力や計算のミスが生じるリスクも減少しています。属人化していた反省も踏まえて、複数人で担当するようにしたため、今後の業務の継続性も確保できたと考えています。
長島様:システム導入をきっかけに、両者のコミュニケーションも改善したほか、データが可視化されたことで、子会社側の連結に対するメンバーの理解も深まったように感じています。当初は、子会社も新しいシステムの導入には抵抗があったようですが、「操作も理解しやすいので業務が進めやすい」というメンバーからの評価がこちらに届いています。
最後に、将来への展望が開けたことも重要です。このシステムは他の子会社への展開も可能ですし、将来的には管理会計の活用も視野に入れています。つまり、今回の導入が、グループ全体の経理業務の高度化につながる第一歩になったと考えています。総じて、作業効率の向上、データの信頼性の向上、そしてグループ全体でのコミュニケーション改善という、多面的な効果が得られたと評価しています。
管理会計への応用も視野に子会社からのデータ収集を強化したい
――今後、新たに取り組みたいこと、また活用方法があればお聞かせください
西山様:まずは今回の知見、経験を今後のサブ連結業務にも活かしたいと考えています。今後もさらに連結子会社が増えていく見込みですが、さまざまなパターンに対応できるようにしなくてはなりません。今回のDivaSystemの活用によって、私たちの引き出しが1つ増えた感覚を持っています。
将来的には、経営陣からの要求が高まっている管理会計への応用にも着手したいです。現状よりも、さらに粒度の高いデータを子会社から収集するとともに、詳細な分析を行うことで、迅速な経営判断に役立てていくのが私たちのミッションです。
――グローバルでの経理業務の効率化、高度化を推進するために、アバント製品へご期待いただく点があればぜひお聞かせください
長島様:連結決算プロセスは、親会社主導で進めざるを得ず、子会社にはどうしても従属的な意識が生まれがちです。できるだけ導入にかかる負担を減らし、かつ最大の効果が得られるように今後もサポートをいただけたらと思います。
特にここ数年、RPAやAIを活用することで業務削減や効率化に取り組んできました。他のシステムとの連携を強化し、ERPや管理会計などのシステムともシームレスな連携が実現できれば、経理業務全体の効率化と高度化がさらに進むのではないかと考えています。
アバントさんには、単なるシステムベンダーではなく、グローバル経営を支援するパートナーとしての役割を期待しています。今後も技術面だけでなく、業務プロセスの改善や子会社とのコミュニケーション改善など総合的なアプローチによる支援をお願いできたらと思います。
会社名:JA三井リース株式会社(英文社名:JA MITSUI LEASING, LTD.)
設 立:2008年4月1日
本社所在地:〒104-0061 東京都中央区銀座8-13-1 銀座三井ビルディング
事業内容:賃貸事業、割賦販売事業、各種ファイナンス事業、その他付帯事業
連結子会社 62社(うち海外29社)
持分法適用会社 13 社(うち海外10社)
資本金:320億円
URL:https://www.jamitsuilease.co.jp
※2024年8月 取材当時の情報です