連結会計
開示・連結決算
海外拠点ガバナンス
DivaSystem LCA
海外統括拠点への「DivaSystem LCA」導入で四半期決算業務を8日も短縮、さらに経営管理高度化を実現
SHIMADZU (ASIA PACIFIC) PTE LTD.
計測機器、医用機器、航空機器、産業機器などの分野で社会の発展や人々の豊かな暮らしの実現に貢献する島津製作所様。世界各国に子会社や関連会社、研究施設を有する、日本を代表する精密機器メーカーです。
親会社である株式会社島津製作所には、連結決算会計システムとしてかねてよりDivaSystem LCAをご導入・ご活用いただいてきましたが、子会社の事業が成長し孫会社を含めた企業ネットワークが拡大していく一方、子会社でのサブ連結決算業務においては孫会社のレポーティングフォーマットが統一されておらず、業務のスピードアップの妨げとなり、事業の成長に伴い、その精度の向上とスピードの改善は喫緊の課題となっていました。
そんな中、劇的なスピードアップと精度の向上を実現したのが、シンガポールの子会社、SHIMADZU (ASIA PACIFIC) PTE LTD.です。
マレーシア、インド、フィリピン、ベトナムにある孫会社との連結決算業務を行っていた同社の企画管理部門では、どのような課題を持ち、それをどう解決したのでしょうか。また解決によってどんな効果が生まれたのでしょうか。同社コーポレートストラテジープランニング部門のマネージャー、井尻亮様に、そのお話をうかがいました。
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導入前の課題
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Excelによる非効率業務
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Excelを用いて作成した収集用パッケージを子会社とメールでやり取りする際に、手戻りや統括会社側の追加業務が多く発生していた
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統括会社の業務負荷の増加
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限られた人員で決算業務を行う中、経営管理の高度化に向けた取り組みの必要性を理解しつつも、着手できないでいた
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導入効果
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決算早期化
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業務を大幅に効率化し、四半期の連結決算業務を8日間短縮
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業務の属人化を回避
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統括会社の連結決算においても本社と同じシステムを用いることで、駐在員が定期的に交代する際にも標準的なプロセスを前提とした業務引継を実現
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経営管理の高度化に向けた取り組みの実現
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効率化による業務負荷削減により、経営層に向けた分析資料の提供等、経営管理の高度化に向けた新しい取り組みを実現
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わずか2名のスタッフでバラバラのフォーマットと格闘
―まず、DivaSystem LCAの導入を検討するきっかけから教えてください。
SHIMADZU (ASIA PACIFIC) PTE LTD.は、島津製作所のシンガポール統括拠点です。ここではアジア各国に展開する孫会社の連結決算業務の取りまとめも行っています。
島津製作所では、3年ごとに中期経営計画を作成しています。その2017年からの3か年計画において、私の原籍部門である理財部(経理部門)では「四半期決算の早期化」という目標が掲げられました。それまで20日ほどかかっていた四半期決算業務を5日短縮し、15日ほどで終わらせるという目標だったのですが、当時の作業方法でそれを実現するのは難しく、システムの導入は不可欠だと考えました。
―具体的にはどのように決算業務を行っていたのでしょうか。
私は2013年12月に本社からこちらへ異動しましたが、各孫会社はそれぞれの国の税務申告用の決算書類をそのまま送ってくるだけで、連結決算作業用に作られたものではありませんでしたし、フォーマットもバラバラでした。そのデータをサブ連結決算用に組み替えるのですが、作業をするのは私とローカルスタッフの2名だけ。非常に多くの時間をその組み替えに費やしていました。
その後、エクセルでフォーマットを定型化し、各社同じ粒度の情報が切り分けられるように整理をしたのですが、システム上で管理しているわけではないので、データに間違いがあればその度に修正指示のメールを送り、修正したエクセルをメールで送り返してもらい、そのデータを使ってまた計算をし直して…と、その都度連結決算をやり直す手間がかかっていました。現地のスタッフも頑張ってくれてはいましたが、そう長く残業を強いることはできず、あとは私一人でカバーするしかない状況でした。
操作のわかりやすさと費用感が導入の決め手に
―他の連結決算システムとの比較検討もされたかと思いますが、DivaSystem LCA導入に至る決め手はどんなところにありましたか?
せっかく連結会計システムを導入するのであれば誰もが使いやすいシステムでなければ意味がないと思っていましたが、DivaSystem LCAはすでにグループ全体で導入されていたため、連結業務に関わる社員なら一度は触ったことがありましたし、「操作がわかりやすい」という声を社内で聞いていましたので、その点は大きな判断材料になりました。
また、他社のシステムを新規で導入することに比べ、費用を抑えることができ、本社の承認を得やすい下地があったことも大きかったですね。
―導入に向けたディーバとのやりとりは、どのように進められたのでしょうか。
メールとSkypeが主な連絡手段でしたが、驚いたのはメールのレスポンスがとても速いことです。こちらで疑問に思ったことを連絡すると、すぐに、しかも的確に答えていただけたので、非常に安心感がありました。
また、導入に至る過程の時期に何度か東京出張があったので、その際にディーバさんにお邪魔してフェイス・トゥ・フェイスで話せたことも、お互いの理解を進める上で役立ったと思います。テスト期間においても、機能や動作の確認を細かくやっていただいたので、「導入してみたらイメージと違った」というようなこともありませんでした。
四半期決算業務の短縮化が生んだ予期せぬ副産物
―導入後、どのように業務が改善しましたか?
飛躍的に変わりましたね。システム上で間違いを修正すればすべてのデータを再計算して瞬時に連結決算に反映されるので、それまで煩わしかったメールでのやりとりがなくなり、一気に時間が短縮されました。
―本社からご提示のあった四半期決算の短縮目標は結果的に実現できましたか?
はい。5日短縮が目標だったところ、なんと8日も短縮して提出することができ、本社の目標値を大きくクリアすることができました。アメリカや中国の拠点は2~3日の短縮だったので、これは非常にインパクトのある変化だったと思います。
またそれだけでなく、時間に余裕ができたことで、これまで手をつけることができなかった「経営管理資料の高度化」というミッションにも着手できるようになりました。DivaSystem LCA上で数値化したデータをもとに損益分岐点などを分析し、新たな経営資料として経営層に求められる有用なデータの提供に繋がりました。この効果は導入当初から想定していたものではありませんでしたが、シンガポール統括拠点内ではもちろん、本社役員レベルからも大いに評価される結果となりました。
―ご自身の勤務状態も良い方向に改善したのではないでしょうか?
はい。残業が劇的に少なくなりましたね(笑)。
情報面から会社の成長に貢献する自分の役割を知った
―もし連結決算業務に悩んでいたり、システム導入を検討されていたりする経理部門の方にDivaSystem LCAを進めていただくとしたら、どんなメリットを紹介されるでしょうか。
システムの導入には当然ながら費用がかかりますので、単に決算を効率化しようというだけではなかなか踏み切れないかもしれません。しかし弊社のように、決算効率化によって経営状況の迅速な報告や経営上重要な資料の吸い上げができ、経営判断において有効な情報が提供できるというところまで考えれば、システム導入は大いに意味のあることだと思います。
私自身、長く経理部門で仕事をしてきましたが、自分が作った数字のレポートが会社にどのように役に立っているかまでは正直把握できていませんでした。しかし、DivaSystem LCAを活用し、業務負荷を削減できたことにより、本来着手すべきレポートの改善や高度化を実現できたことで、各部門のマネージャーから「よく理解できる」「これを営業活動に活かしたい」という声が多く寄せられるようになり、自分の役割の重要さに気づくことができました。
経理という部門は、売上で会社に貢献できる部門ではありません。しかし、情報という面から企業価値の向上に貢献できるのだということを、DivaSystem LCAの導入を通じて強く感じることができました。本社の役員やシンガポールの営業マネージャーなど、社内のさまざまな立場のスタッフとのコミュニケーションづくりにも非常に役立っています。業務の負荷を削減するというだけではない、投資効果をもたらしてくれるシステムだということを、ぜひたくさんの方に知っていただきたいと思います。
会社名:Shimadzu (Asia Pacific) Pte. Ltd.
設立:1989年11月
本社所在地:79 Science Park Drive, #02-01/08, Cintech IV Singapore Science Park 1, 118264 Singapore
事業内容:アジア・オセアニアにおける分析計測機器、医用機器の販売
資本金:315万シンガポールドル
URL:https://www.shimadzu.com.sg/
※2020年02月 取材当時の情報です