コロナで変わる連結決算のニューノーマルとは
新型コロナウイルスの影響でリモートワークを始めて1か月を超えましたが、皆様は慣れましたでしょうか?
私はクライアントとのリモート打ち合わせも多いのですが、運動不足以外は思ったよりも困ることがなく、通勤がない分、楽になった印象です。
経理部門の皆様は、ちょうど決算の時期だったこともあり、人によってはコロナリスクを冒して出社したり、リモートでの作業を強いられて大変だったかと思います。しかし、コロナの問題解決には時間がかかることから、今後もリモート環境下の連結決算がニューノーマルになることを想定する必要があるのではないでしょうか。
私の部門では、クライアントの決算業務を支援しながら、課題抽出・解決につなげる形のコンサルティングを実施しています。本コラムでは、弊部門でご支援した今決算で見えた、コロナ環境での決算ニューノーマルへの課題と必要な打ち手について話をしたいと思います。
決算に限らずですが、リモート環境下で問題となるのは、コミュニケーションがスムーズに行かないことが一番です。今までだと、同じ職場にいるので、ちょっと確認したいことや、逆に情報共有すべきことがあれば電話や口頭でのコミュニケーションで足りていました。
しかし、リモート環境下では、何か確認したり情報共有するのも、いちいちZOOMやTeamsでつなげないといけなかったり、同じ時間帯で仕事をしてなかったりで効率的なコミュニケーションができず、後で手戻り等の問題が発生します。
連結決算に置き換えると、精算表作成担当者とCF作成担当者間で、過去無かったCFへ影響のある取引に関する調整の情報が伝わっておらず、CF作成時に説明できないCFが発生して原因分析に手間取ったり、同様の理由で決算説明のための分析時に不明増減が判明して慌てて原因分析したりといったことが起こってきます。
この問題の原因は、各決算プロセスで「何を行うのか」という内容は定義されているものの、「アウトプットデータ(次プロセスで必要なデータの内容や細かさ)」が明確に定義されておらず、過去の流れでアウトプットを作成しているからです。(今では不要となっているアウトプットを時間をかけて作成している例も見られます。)
これは、今までの人的なコミュニケーションで問題とならなかったことが、コロナ環境でのニューノーマルでは成り立たないことを意味しています。
この問題に対応するために、データという側面で、連結決算の最終工程(各種報告資料作成)でアウトプット(データ)は何で、前工程でどのようなインプットデータを受け取らないと、そのアウトプットが作成できないのかを明確に定義しておき、最終工程から始めの工程まで無駄なくダブりなく繋げる必要があります。
更に、このアウトプットデータは環境変化によって常に変化するものなので、常に見直し、再定義が必要となってきます。
このような対応を行っていくためには、各プロセスの作業を自動化するなど見直しを行い、上記のデータマネジメントに経理人材を充てるといったトランスフォーメーションが必要となってきます。
実は、これこそがDX(デジタルトランスフォーメーション)であり、データとデジタル技術を活用して業務そのものや、組織、プロセス、企業文化・風土を変革し、競争上の優位性を確立することに他なりません。
今までは人材不足から人を前提にしない決算プロセスの早期確立が叫ばれていましたが、更にコロナ禍で(連結)決算DXこそが対応すべき課題と言えるのではないでしょうか。
執筆者
尾上 徹
執筆日:2020/5/27
※本記事は当社商号が「株式会社ディーバ」当時に作成されたものです。