DX推進の第一歩は経営ダッシュボードから
DX推進は、なにから始めるべきなのでしょうか。
課題の整理? データの洗い出し? 思い切ってシステムのリプレイス?
2020年初め頃から、DX(デジタルトランスフォーメーション)という言葉が毎日のように聞かれるようになり、新年度より、DX○○部という組織を立ち上げている企業も多々あるようです。
しかし、いったい何から取り組むべきか、「As is」「To be」の整理から入って、現状のデータのバラバラさや、各レイヤー(経営層、事業層、現場)での指標・認識が合わない、などプロジェクトを進める前に泥沼にハマっていませんか?
今回は、思い切って「今あるデータでまずダッシュボード化」してから、必要なデータ or 不要なデータ、改修が必要なシステム or 不要なシステム、継続する業務 or 改善すべき業務 を見直していきましょう、というクイックリーな進め方をご紹介いたします。
これだけシステム化が進んだ世の中ですが、残念ながらまだまだ多くの企業の経営企画担当者は、経営層や投資家向けに手作業でデータを収集し・集計し・分析し・資料を作って・ダメ出しをもらって作り直して・・・ということを繰り返しています。
そうなってしまっている要因はさまざまです。
人手不足、ノウハウ不足、属人化、システムの不自由さ、各観点でのデータ粒度の違い、ERP統合のカベ、Excel/PowerPoint文化、・・・
しかし、ズバリ本質的な原因を指摘すると、それは、経営管理指標が統一されていない(各社・各システム、各レイヤーでバラバラ)の一言に尽きます。
そこでまず、「経営ダッシュボード」を作ってしまおう、という話に繋がります。
以下は、実際に経営ダッシュボードを導入した企業の実例です。導入効果として、以下のようなメリットがありました。
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会社/事業での経営指標の設定/統一がなされ、横串での事業評価ができた。
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報告フォーマット統一による報告者の恣意性を排除できた。
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必要な情報を、いつでも一元的/横断的に見ることで、意思決定が迅速になった。
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加えて、経営ダッシュボードの運用を重ねることで、ブレイクダウンできる共通指標による事業ポートフォリオ・マネジメントも実現できるようになります。
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事業ポートフォリオの可視化による資本効率向上(稼ぐ力、資源配分向上)
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差異分析/シミュレーションによる将来予測
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業績評価と連動させることで、事業目標達成への実効性向上
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<経営ダッシュボードのサンプル例>
では、経営ダッシュボード導入に向けて、どういったハードルを超える必要があるのでしょうか。
大きく2つの壁があります。
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① データの壁
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正確な情報を集めることができない。分析に有用な情報がない。
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手作業が必要。業務負荷が高い。
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コンテンツの壁
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何を見るべきか決まらない。売上、利益だけみていればいいのでは?
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今も経営指標はEXCEL、PowerPoint、紙ベースで十分
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これらの壁に怯むことなく、今あるデータからでも始めていけるのではないか?という考えからスタートしてみはいかがでしょうか。
投資家は多面的に見ています。内外への説明のために、あるいはスピーディーな意思決定のために今すぐにでも活用していくべきという気持ちで壁を乗り越えて行きましょう。
最後に、経営ダッシュボード導入の成功の秘訣をお伝えいたします。
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① クイックに始める
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多くの会社が既にある会計情報からスタートしている。
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会計=ビジネスの共通言語を利用することで、経営情報の基盤とする。
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② 走りながら改善していく
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Excelで管理している詳細な情報や、独自のモニタリング軸は適宜、拡張していく。
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例えば、製品、地域別の売上内訳、数量、原材料、在庫の推移などから始める。
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ダッシュボードを見て得た気付き、疑問から、経営に必要な情報を探索していく。
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DX時代に求められるのは、スピードと可視化です。
構想を練るだけで、時間ばかりかかって泥沼にハマる前に、クイックに今あるデータで経営ダッシュボード導入を検討してみてはいかがでしょうか。
執筆者
川村 圭介
システムエンジニア、マーケティング支援会社を経て、2018年に株式会社ディーバに入社。
グループ経営管理に関するコンサルタントとしてシステム導入プロジェクトに従事。
執筆日:2021/5/21
※本記事は当社商号が「株式会社ディーバ」当時に作成されたものです。