投稿日:2024.02.27
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EPMとは?導入のメリットや注意点、BIとの違いを解説

ナレッジコラム「EPMとは?導入のメリットや注意点、BIとの違いを解説」

ビジネスを成功に導く上で、企業の競争力強化は不可欠です。競争力の高い企業体質の基盤を築くためには、企業全体のパフォーマンスを高めることが重要になります。しかし、複数の事業や部門がある場合、全体の状況を正しく把握し、適切に判断することは難しいものです。

そこで有効なのが、企業全体の事業分析や管理する手法として活用されている「EPM」です。本記事では、EPMについて、導入のメリットや導入時の注意点、BIとの違いなどについて解説します。

1)EPMとは、企業全体のパフォーマンス向上のための経営管理手法やプロセス

EPMとは、企業全体のパフォーマンス向上を目的に行う経営管理手法やプロセスのことです。EPMでは企業内のあらゆる事業や数値を収集、分析します。業績をモニタリング・管理して課題を見つけ、予測を立てることができるため、スピーディーな経営判断が実現可能です。

EPMは、Enterprise Performance Managementの略で、「企業業績管理」や「ビジネス業績管理」などと訳されます。企業によっては「CPM(Corprate Performane Management)」と呼ばれることもありますが 、意味はほとんど変わりません。

2)EPMが注目される背景

EPMが注目される背景には、近年のIT技術のめざましい発達やグローバル化、少子高齢化によって、企業を取り巻く環境が大きく変化したことがあります。

デジタル化による顧客の行動変容により、ニーズは多用化し、短期的なスパンで変化するようになったことで、企業はこれまで以上に顧客の興味・関心を引く情報発信や商品・サービスの開発に努めなければならなくなりました。グローバル化による競争の激化で、より厳しいコスト削減も求められるようになっています。
また、国際経営開発研究所(IMD)が発表している「世界競争力年鑑」2023年版によれば、かつて1位だったこともある日本の国際競争力は、過去最低の35位まで落ち込みました。

厳しい環境下で生き抜くための競争力強化が企業に求められる中、超高齢社会に突入した日本の労働者人口は、今後も低下していくことが確実です。限られたリソースでいかに生産性を高められるかが、事業成長のカギを握っているといえるでしょう。

そこで、組織全体のデータを有効に利用し、業績のモニタリングや管理によってスピーディーな経営判断を可能にするEPMへの関心が高まっているのです。

3)EPM導入のメリット

EPMを導入することで、企業全体のパフォーマンスを向上して企業の競争力を高める効果が期待できることは前述したとおりです。
ここからは、EPM導入によって得られるその他のメリットについて見ていきましょう。

・経営における適切な判断がしやすくなる

EPMの導入におけるメリットの一つは、経営における適切な意思決定がしやすくなることです。
経営に関わるデータを収集し、業績をモニタリング・管理することで、予算管理や予測、計画の精度を高めることができます。事業や部門ごとの収益予測も可能になるため、経営戦略に照らしてボトルネックを排除したり、目標を達成するために修正を行ったりといった迅速かつ的確な意思決定がとりやすくなるのです。

・全社的に情報とノウハウを蓄積できる

EPMでは、全ての業務部門から得られるデータを統合し、情報を共有できる環境を整えます。企業によっては部署ごとにデータの保存方法やフローが異なるケースもありますが、EPMでは単一のフォーマットを使用しており、部署をまたいでも問題なくデータやノウハウの集積が可能です。

例えば、各業務で取り扱う情報を組織全体で共有するEPMを導入すれば、取引情報が開示され、全社の売上向上に貢献する有用なノウハウとして活用したり、顧客対応の質を向上させたりできます。

・情報の透明性が高まる

EPMを導入することで、各部門のデータ統合が進み、情報の透明性が高まります。自社において情報の透明性が担保されることで、従業員が経営陣の意思決定の背景をより把握しやすくなることもメリットの一つです。経営判断への理解が深まるとともに、自浄作用も期待できます。

・スピーディーな経営判断が可能になる

市況が目まぐるしく変わる現代において、企業はこれまで以上に意思決定を速やかに行う必要があります。

EPMは、経営に関わる各業務データを統合し、リアルタイムで必要なレポートを提供できる仕組みです。最新の正確なデータに基づいてPDCAサイクルを回すことができるため、スピーディーで的確な経営判断を下すことができるでしょう。

4)EPMとERP・BIとの違い

EPMと役割や考え方が似ていることから、混同されることが多い言葉に「ERP」や「BI」があります。
EPMとの違いを確認しておきましょう。

・ERPは業務運用のためのツール

ERP(Enterprise Resources Planning)は、企業の基幹業務に必要な機能を網羅的に備えたITツールのことです。組織内のデータを一元管理して分析することによって、企業経営を形成する4要素「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」を適所に分配し、有効に活用するためのシステムで、経営資源を無駄なく利用して生産効率を高めることが目的です。

システムによって「ヒト」の管理に注力していたり、「カネ」の管理に重点を置いていたりと特徴が多少異なりますが、ERPでは主に下記のような情報を管理できます。

<ERPで管理できる主な情報>
・販売管理
・人事、給与管理
・生産管理
・購買管理
・営業管理
・会計管理


EPMが企業のパフォーマンス向上を目的に管理することを指すのに対し、ERPはその実現を助けるために使われるツールであるという点に違いがあります。
ERPを活用すると、業務上必須のデータが一元管理されるため、EPMの速やかな導入と浸透に役立つのです。

・BIツールはデータ分析、レポーティングするためのツール

BI(Business Intelligence)は、企業に蓄積されるたくさんのデータを分析し、分析結果を経営判断やマーケティングに活かすことです。BIツールというと、レポーティングや分析、モニタリングなどの機能が付いたツール全般を指します。

EPMとBIの違いは、目的が異なる点です。
BIは企業のデータを分析・可視化し、意思決定に役立つ情報を提供することを目的としているのに対し、EPMは前述のとおり、企業のパフォーマンス向上を目的として管理することを目的としています。

5)EPM導入における注意点

EPMは、先行き不透明な時代を生き抜こうとする企業にとって、メリットの多い手法です。しかし、決してメリットばかりではありません。ここでは、EPM導入にあたって知っておきたい注意点をご紹介します。

・運用までに時間と手間がかかる

EPMを実践するには、全社のデータを収集する必要があります。部門ごとに管理方法が異なる場合など、情報を整理してまとめるためには時間と手間がかかるものです。そのため、先にご紹介したERPやBIなどのITツール・システムを導入することが望ましいでしょう。

・導入前に課題を分析しておく

データを集めても、活用方法が分からなかったり、十分に活用しきれなかったりして宝の持ち腐れになっては、せっかくの作業が水の泡です。闇雲にEPMの導入を進めるのは避け、なぜ導入するのか、導入して何をしたいのか、自社が抱える課題と求めるソリューションをまずは明らかにしましょう。

EPM導入を先導する担当者だけでなく、経営陣も含めて課題を検討し、意見をまとめておくことが社内にEPMを浸透させるコツです。

6)企業のパフォーマンス向上を目指すなら、EPMの導入を検討しよう

EPMは、企業のパフォーマンス向上を目指す上で重要な手法です。
経営に関わる数値を収集・管理し、分析して適切な経営判断に活かすためには、ITツール・システムの導入が有効になります。企業の競争力を高めて業績を上げ、刻々と変わりゆく環境に対応するために、EPMの導入を検討しましょう。

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