投稿日:2024.03.13
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一元管理とは?企業経営における管理の対象や行うメリットなどを解説

一元管理とは、組織内でバラバラに管理されているヒトやモノ、カネ、情報・データを1カ所にまとめて、その管理方法を統一することです。企業の経営資源である情報やデータを一元管理することは、業務効率化や迅速な意思決定をするためにも欠かせません。
本記事では、一元管理のメリット・デメリットや、実現させるためのポイントを解説します。

1)経営管理における一元管理

一元管理とは、複数のものを1カ所にまとめて管理することです。経営管理においては、複数の事業や部門、部署などで管理されているヒトやモノ、カネ、情報などの経営資源やデータを1カ所に集約し、効率良く活用できるように管理方法も統一することをいいます。
一元管理と混同されがちな用語として挙げられるのが、「一括管理・集中管理」や「同期」です。一元管理との違いを確認しておきましょう。

・一括管理と集中管理

一括管理と集中管理は、管理対象となる経営資源やデータを1カ所に集める点は、一元管理と似ています。しかし、一括管理や集中管理の場合、その管理方法までは統一されないという点で異なります。

・同期

同期とは、異なる端末同士で情報・データを共有し、ファイルやフォルダを同じ状態にできる機能を指します。あくまで機能であるため、一元管理のような管理方法とは意味合いが異なります。

2)一元管理の対象となる経営資源

経営管理において一元管理の対象となるのは、経営資源である「ヒト」「モノ」「カネ」「情報」の4つに大きく分けられます。それぞれ具体的にどのような内容なのか、詳しく見ていきましょう。

・ヒト:人材や組織

企業を構成する従業員および人材を指すヒトは、経営資源の要素の一つです。従業員や人材そのものを指す他、従業員の知識・スキルや経験によって生み出される経済的な価値もヒトに含まれます。

一元管理の対象であるモノ・カネ・情報という経営資源を動かすのはヒトであるため、4つに分類される管理対象の中でも特に重要視されるものです。経営資源であるヒトは、商品・サービスなどのモノを作り、企業の利益となるカネを生み出します。

従業員や人材に関する情報を一元管理できれば適切な人材配置もできるようになり、より効率良く活用していくことが可能です。企業や事業の成長のためにも、ヒトの適切な管理は欠かせません。

昨今の日本企業は、少子化やグローバル化に伴って人的資本が不足しているのが現状です。ヒトの一元管理によって人材を確保し、適材適所に配置していくことは、多くの企業が抱える課題といえるでしょう。

・モノ:商品・サービス、設備などの資産

経営資源において一元管理の対象となるモノは、大きく2つに分けられます。顧客に提供する「商品・サービス」と、経営に必要な設備などの「資産」です。

モノの一元管理では、商品・サービスの在庫や受注、発注などの情報をリアルタイムでまとめて管理します。顧客に正確かつ最新の情報を提供できるようになるため、過剰在庫や販売損失などの防止につながるでしょう。設備などの資産についても同様にまとめて管理することで、生産設備の最適化や効率的な物流システムの構築などが実現できます。

企業内の複数の部門・部署にわたりモノを適切に管理できれば、常に情報がアップデートされる環境を整備することが期待できるのです。

・カネ:経営資金

カネは、企業活動に欠かせない経営資金のことです。経営資金も一元管理することで、業務効率化と業務の負担軽減によるコスト削減や、作業時間の短縮などの効果につながります。

カネの一元管理では、各事業や部門・部署が管理する予算などをまとめて管理。企業全体のお金の流れを把握できるようにします。
例えば、会計システムと販売管理システムを自動連携させて一元管理できるようにすれば、仕訳データを入力する手間を省ける上、手入力によるミスも防ぐことが可能です。さらに、帳票発行システムも一元管理できれば、販売管理システムのデータと連携させて帳票を自動作成することもできるでしょう。

・情報:データや業務ノウハウ

一元管理における情報とは、顧客データや業務ノウハウ、ナレッジなどのことです。例えば、顧客データを一元管理することで、部門・部署間の情報共有がスムーズになります。営業担当者だけでなく、企業全体で顧客データを管理できるようにもなるからです。

企業全体で顧客データを管理できれば、顧客からの問い合わせへの対応もしやすくなり、顧客満足度の向上も期待できます。販売部門と生産部門でのリアルタイムでの情報共有は、余剰や欠品を軽減させることにもつながるのです。

また、業務ノウハウやナレッジを企業全体で管理できることで、業務の引き継ぎや連携がしやすくなるとともに、業務全体の質向上が期待できます。他にも、情報の一元管理によって現場の状況を経営陣が正確かつリアルタイムに把握できれば、より的確な経営判断ができるようになるでしょう。

3)一元管理を行うメリット

一元管理を行うことで、具体的にどのようなメリットが見込めるのでしょうか?
ここでは、大きく2つのポイントに分けて解説します。

・コストの軽減

各部門・部署が管理するデータをそれぞれの方法で管理・運用するのは、手間もコストもかかります。一元管理によってあらゆる部門・部署のデータの管理方法を統一できれば、データ入力や共有のための作業コストを大きく軽減できるでしょう。また、部門・部署の垣根をなくして情報が可視化されるため、リソースの適切な配分もできるようになり、無駄なコストの発生も防げます。

・業務効率化の向上

一元管理をすることで、経営陣や従業員は必要な情報へすぐにアクセスできるようになります。速やかな情報共有とデータ処理が可能となり、業務効率化が見込めることはメリットの一つです。また、データ処理が迅速になるだけでなく、一元管理のためのシステム導入やデータの連携によって人為的な入力ミスや情報伝達ミスも減らせます。

各部門・部署の担当者が、それぞれ独自の方法で情報管理をしていると、情報の伝達ミスが発生することも少なくありません。その点、管理方法も統一する一元管理ならこうしたミスも減らせるため、社内で伝達する情報の正確性も向上します。

4)一元管理を行うデメリット

一元管理を行うにあたり、注意したいデメリットもあります。
デメリットをカバーしながら一元管理を実現できるように確認しておきましょう。

・仕組みを構築するためのコストがかかる

一元管理を実現するには、情報やデータをまとめて管理するためのITツールやシステムの導入・運用が欠かせません。一元管理のための仕組みを構築するために、ライセンス費や保守運用費などのコストがかかります。また、従業員がツールやシステムを使いこなせるようにするための導入トレーニング費がかかることもあるでしょう。

こうしたコストの発生に備えて、一元管理の実現に向けた予算の確保や費用対効果の検討をすることが大切です。

・社内の意識改革が必要

一元管理を実現するとなると、企業のヒト・モノ・カネ・情報といった経営資源の管理方法を大きく変えることになります。これは、従業員の業務の内容や進め方にも大きな影響を与えるため、従業員からの理解や支持を得るための意識改革も必要となるでしょう。

特に、既存システムの運用に慣れている現場担当者は、新たな管理方法を受け入れるのに抵抗を感じることもあります。導入前に一元管理の必要性や目的を周知し、企業全体で理解できるようにすることが重要です。

・社内の教育やアフターケアが必要

一元管理を導入・運用していくには、従業員に対する教育や業務プロセスの見直しが欠かせません。新たなITツールやシステムを運用していくための研修も必要です。

そのため、企業全体で一元管理を実現してその効果を発揮させるためには、ある程度の時間がかかることも考慮しなければなりません。一元管理を導入した後に従業員をフォローできる体制づくりも必要です。

5)一元管理を実現するためのポイント

ここからは、一元管理を実現させるための3つのポイントをご紹介します。前述したデメリットをカバーするためにも重要なため、一元管理を導入する際の参考にしてください。

・一元管理を行う目的を明確にする

従業員からの理解や支持を得た上で一元管理を導入・運用していくためにも、なぜ一元管理を行う必要があるのかを明確にし、企業全体で共有することが大切です。

自社が現在抱える課題や、一元管理によって見込めるメリットと注意すべき点を洗い出し、導入する目的を明確にしましょう。目的を考える上では、社内だけでなく顧客に対してはどのような効果が期待できるのかという視点も持つことが大切です。

・円滑な運用のためのマニュアル作成

一元管理の仕組みを導入した後、スムーズに運用していくためにも、従業員の誰もが同じように情報を閲覧・操作できるようにルールや操作マニュアルを作成しましょう。

導入したITツールやシステムの使い方をはじめ、情報更新の方法や整理の仕方など、一元管理における運用ルールを取り決めて社内で周知します。

・自社に合ったITシステムの導入

現在、一元管理に活用できるITツールやシステムは、さまざまな製品が登場しています。自社に合ったものを導入するためにも、一元管理を行う目的や予算などを踏まえて検討することがポイントです。

なお、一元管理の仕組みから構築するのであれば、情報管理ツールやERPの導入が有効になります。また、経営管理においては専用の経営管理システムを導入するのが良いでしょう。

【情報管理ツール】
 情報管理ツールは、クラウド上でさまざまな情報・データを管理できるツールです。拠点の垣根をなくして、顧客データや業務資料などを共有したい場合にも役立ちます。

【ERP】
 ERPはEnterprise Resource Planningの略で、「統合基幹業務システム」や「基幹システム」と呼ばれます。販売や生産、製造、人事、会計などの企業活動に必要な各種情報・データをまとめてクラウド上で管理することが可能です。システム同士のスムーズな連携もできるようになります。

【経営管理システム】
 経営管理システムは、組織内の情報を収集・処理し、経営分析を行うためのシステムです。外部システムとの連携機能を持つものが多く、活用することで効率的に情報収集が行なえます。情報の迅速な共有分析で、企業の目標達成や意思決定をサポートしてくれます。

6)一元管理はDX推進のためにも欠かせない

経営資源の一元管理は、近年多くの企業が推進する「DX(Digital Transformation:デジタル・トランスフォーメーション)」にも欠かせません。DXとは、データやITなどのデジタル技術を活用して、業務プロセスの改善や企業の在り方そのものの変革を目指す取り組みを指します。

DXの推進で業務効率化や生産性向上を目指すにあたり、一元管理によってシステム全体を可視化し、スムーズな情報共有ができる環境を整えることは重要です。これをしなければ、企業の現状を把握して課題や改善点を洗い出すことも難しくなります。
情報通信技術が多様化・複雑化した近年は、より効率的なシステムの運用やセキュリティ対策が求められています。組織内に複数存在する情報管理システムやツールを一元化することは、多くの企業にとって必要な取り組みといえるでしょう。

7)一元管理の実現に向けて自社に合ったITツールやシステムを導入しよう

一元管理では、企業活動に必要なヒト・モノ・カネ・情報のデータを1カ所に集約し、その管理方法を統一します。一元管理を実現できれば業務効率化が見込めるだけでなく、従来の情報管理にかかっていたコストの削減も期待できるでしょう。社内であらゆる情報を共有できるようになり、情報伝達の正確性向上や社内コミュニケーションの活発化、迅速な意思決定などにもつながります。

一元管理を実現するには、その仕組みを構築するための初期費用がかかる他、社内ルールやマニュアルを作成することや、社内で定着させるための教育や意識改革も欠かせません。
スムーズに一元管理を導入し運用していくためにも、自社の目的や管理したい情報・データに合ったITツールやシステムの導入を検討することをおすすめします。

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