投稿日:2024.06.17
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PSI とは?在庫最適化を図る PSI 管理の手順や導入メリットを解説

PSI とは、「Production」「Sales」「Inventory」の 3 つの頭文字を組み合わせた言葉です。この 3 つを統合的に管理し、生産計画や在庫を最適化する取り組みを「PSI 管理」といい、製造業において重要な役割を果たすと考えられています。
そこで本記事では、PSI 管理が重要と考えられている理由や、在庫を抱えるメリット・デメリット、PSI 管理のプロセスなどについて詳しく解説していきます。

1)PSI とは、生産・販売・在庫を表すもの

PSI とは、Production(生産)・Sales(販売)・Inventory(在庫)の 3 つの頭文字を組み合わせた言葉です。この 3 つの項目を密接な関係として捉え、より精度の高い生産計画を立案したり、在庫を最適化したりするための取り組みを、PSI 管理といいます。
PSI 管理は、特に製造業において過剰在庫の発生や品切れといった販売機会の損失を防ぐためにも欠かせないものです。

PSI 管理の重要性

昨今の製造業を取り巻く環境の変化を受けて、PSI 管理は企業が積極的に取り組むべき課題と考えられています。
SDGs の推進や石油高騰による原料費の負担増加、顧客需要の劇的な変動、グローバル化による競争激化など、製造業はさまざまな環境の変化に対する対応が求められています。こうした背景がある中で注目を集めるようになったのが、PSI および PSI 管理です。

従来、製造業においては在庫不足による機会損失を防ぐために、在庫に余裕を持たせることは比較的容易でした。しかし、近年は上記のような企業を取り巻く環境の変化によって、余裕を持った在庫管理が困難になったのです。昨今の情勢を踏まえた結果、企業は適正な在庫を維持するための生産計画を立てることが課題となり、PSI が注目を集めるようになったといえます。

売上の機会損失や在庫管理にかかるコスト増加を防ぎ、資源の消費を抑えるためにも、PSI 管理の推進が求められています。

2)在庫を抱えるメリット

PSI について理解を深めるためには、企業が在庫を抱えることでどのような影響があるかを知ることも大切です。在庫を持つことにマイナスのイメージを持つ人もいるかもしれません。しかし、在庫に余裕を持たせることで、次のようなメリットが期待できます。

需要変動に対応できる

昨今は市場の需要変動が激化しており、情報拡散などをきっかけに急激に需要が増えることも少なくありません。その際、在庫に余裕があれば機を逃さずに商品を提供できます。
また、災害や設備の故障などの予期せぬトラブルによって生産がストップした場合にも、十分な在庫があれば、ある程度の期間は販売を続けられる点もメリットです。

販売機会の損失を防げる

在庫が十分にあれば、顧客を⾧く待たせることなく商品を提供できるため、販売機会の損失を防げます。受注してから商品を届けるまでのリードタイムをできる限り短縮することは、顧客離れのリスクを抑えることにもつながるでしょう。

生産を平準化できて仕入れコストを抑えられる

常に在庫に余裕を持たせる生産計画を立てることで、生産を平準化しやすくなることもメリットの一つです。
一般的に、資材を仕入れる際は、まとめて大量購入するほうがコストを抑えられるため、仕入れコストの削減にもつながるでしょう。発注や入荷などにかかる人件費も、作業の発生頻度を抑えることで削減できます。

3)在庫を抱えるデメリット

在庫を抱えることにはメリットがある一方、デメリットもあるため、適切な PSI 管理が求められます。必要以上の在庫を抱えることによるデメリットは、次のようなものです。

保管にコストがかかる

在庫の保有数が増えると、その分、保管場所や管理業務などにかかるコストが膨らみます。また、在庫は企業の資産に該当するため、期首と比べて期末の在庫が多い場合は、法人税もかかります。
在庫を販売または廃棄しなければ、購入額を経費計上することもできないため、資産が増えているにもかかわらずキャッシュフローは悪化するという状態に陥るリスクも注意しなければなりません。

商品価値が低下する

在庫を⾧期間倉庫に残したままでは、商品の劣化や需要低下など、商品価値の低下にもつながります。価値の低下した商品は値引きして販売する必要があり、それでも売れない場合は廃棄処分しなければならないケースもあるでしょう。
また、需要予測を適切に把握できていなければ、需要変動に対応しづらくなり、商品ごとの在庫格差が広がる原因にもなります。

企業の収益性が低下する

在庫の保有には余計なコストがかかり、本来得られるはずだった利益が減少するリスクもあります。
在庫が多ければ企業の資産は増えますが、売上や利益につながらなければキャッシュフローの悪化を招き、結果として不利益になってしまいます。

4)PSI 管理のプロセス

細かいプロセスは企業ごとに異なりますが、PSI 管理には基本的な手順があります。PSI 管理に取り組む際は、次の 3 つのステップを参考にしてください。

1. 需要予測に基づく販売計画の策定

まず行うのは、過去の販売数や在庫数、生産計画数などのデータを基に、需要予測を立てることです。
需要予測は、参考となる情報量が多いほど、精度が高くなります。販売実績だけでなく、季節性や市場トレンド、競合他社の状況なども考慮するといいでしょう。
需要予測を立てたら、それに基づいて販売計画を策定していきます。一般的に、販売計画は 1 年区切りで作成しますが、商品によっては生産予定期間が異なるため、各商品に合わせた計画を策定することがポイントです。

2. 在庫計画・仕入計画・生産計画の策定

策定した販売計画に基づいて、在庫の管理数や原材料の仕入れ時期などを決めていきます。自社で生産を行っている場合は、生産計画も策定しましょう。
この販売計画や生産計画、在庫計画をまとめた表を、「PSI 計画表」といいます。縦軸に販売・生産などの項目を入れ、横軸に日付を入れるのが一般的です。自社の計画や目的に合った項目を持つ PSI 計画表を作成してみてください。

3. 計画と実績を比較し調整する

最後に、実際に製造した数を入力していき、計画時の見込み数と比較します。見込み数と実数には、必ず差が生じるもの。数量の差を把握した上で、生産計画を調整することが重要です。

販売計画の見込み数に対して実数が大きく乖離している場合は、その原因を分析します。生産能力について予測に大きなずれが生じた、設備に不具合が発生したことで実数に差が出たなど、原因によって対応すべきことが変わるからです。
生産能力の予測で失敗したのであれば、1 年分の生産計画を再度調整する必要があります。一方、不具合などのイレギュラーによるずれが生じた場合は、今後の計画にイレギュラーも組み込んで部分的な数量調整をする必要があるでしょう。

5)PSI 管理を行うメリット

PSI 管理に取り組むことで、具体的にどのようなメリットが期待できるのでしょうか。ここでは、大きく 2 つのポイントに分けて見ていきましょう。

在庫の最適化を図れる

PSI 管理を行うことで、需要変動に合わせた適正な在庫を維持できるようになります。予測される需要に対して欠品を防げるようになり、過剰に在庫を抱えるリスクを抑えつつ、ある程度の需要変動に対して柔軟に対応しやすくなることが期待できます。

ただし、PSI 管理をしたからといって、必ずしも欠品を防げるというわけではありません。
PSI 管理は、あくまでも過去のデータを基に、需要変動を予測して適正在庫数を導き出すものです。そのため、一定の誤差は生じることに留意しましょう。

売上・利益の最大化を図れる

PSI 管理によって欠品を防ぐことができれば、顧客からの需要に対してタイムリーに必要な分だけ商品を提供できるため、売上・利益の最大化を図れます。販売機会を失わずに済む上、無駄な在庫保管にかかるコストも抑えられるのです。

また、適切な PSI 管理を実施できれば、生産工程で発生する無駄なコストを削減することも期待できます。
例えば、余分な在庫の生産を防げるため、生産に伴う人件費を削減することが可能です。精度の高い販売計画を立てられれば、ある程度まとまった資材を購入できるようになり、都度資材を発注せずに済むようになります。小ロット注文による、割高な資材コストも削減できるでしょう。人的資源も含めて、低コストでの生産を実現できるのです。

6)適切な PSI 管理にはシステムの導入が有効

PSI 管理を行うに当たり、需要予測や販売計画の策定には大量のデータを取り扱うことが必要です。計画の見込み数や実数などは、Excel などの表計算ソフトに入力することもできますが、データの量が増えるほど、客観的な分析や精度の高い予測は困難です。

適切な PSI 管理を行うためには、生産・販売・在庫の 3 部門のデータを効率良く一元管理し、分析や計画に役立てられるツールやシステムの導入をおすすめします。自社に合ったツール・システムを導入することで需要予測の精度が高まれば、効果的な販売計画を実現できるでしょう。

7)PSI 管理によって在庫管理や最適な生産計画の策定を実現しよう

生産・販売・在庫の 3 つの要素を統合的に管理する PSI 管理は、在庫の最適化や生産計画の立案に欠かせない取り組みといえます。PSI 管理を始めるに当たり、手間やシステム導入にかかる費用をデメリットに感じるかもしれません。しかし、製造業にとっては、特にそれを上回るメリットが期待できます。
適切な PSI 管理を行うためにも、販売管理や在庫管理に対応したシステムの導入を検討することをおすすめします。

株式会社アバントでは、PSI 管理を実現するためのプロダクト導入・コンサルティングの支援実績が多数ございます。効率的な PSI 管理に向けたシステム導入に関するお困り事やご相談も幅広く承りますので、お気軽にお問い合わせください。

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