投稿日:2024.06.26
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ノウハウ

データドリブン経営の実現に求められるデータ統合の次の一手(セミナー抄録)

※本コラムは、先に開催された「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2024」にて弊社が講演したセミナーの内容をまとめたものです。
【イベントレポート】「ガートナー データ&アナリティクス サミット 2024」も合わせてお読みください。

はじめに:近年の経営環境の変化

まず企業の存続を困難なものとする近年の経営環境の変化を、確認の意味も込めて整理したいと思います。

ビジネスのやり方を変えないと企業存続は困難

「今後10年間でビジネスの進め方そのものを変えなければ、生き残れない」と捉えているCEOの方が多いというのはさまざまなサーベイにも表れています。

またそのため、社内のIT部門、デジタル化をリードされている方々はDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進されていることと思います。

不確実性が高まる中、短期・中長期両面で顕在化するリスク

先行きが不透明な「VUCA時代」と言われる中、中長期的な変動を予測しづらくなっていることはもちろんです。

 ● グローバル規模のインフレ
 ● マクロ経済動向
 ● 地政学的なリスク
 ● 諸外国の政情

さらに短期的なスパンでも、変動のリスクが顕在化していると言えるのではないでしょうか。

企業内外のデータ量は、今後急速に増加

企業の取り扱うデータ量が減ることはまず考えにくいかと思います。さらに生成AIが登場し発展する中で、加速度的に膨大な量となるデータを企業の中で、いかにマネジメントするか、正しくガバナンスを効かせるかは重要な課題です。

価値構造も変化企業価値に占める無形資産影響拡大

特に昨今は、東証の要請の影響もあり、投資家向けの開示の必要性が高まっています。しかも財務状況だけでなく、ESGや環境問題、企業文化やブランドなどの無形資産の影響が拡大しています。

ここで重要なのがデータドリブンによる意思決定です。
より多くのデータや情報に基づき、短期で軌道修正(トライ&エラー)を繰り返し、“即決定、即実行” できる経営体制を構築することが競争力を生むという考え方には賛同いただける経営者も多いかと思います。

複雑化/高度化する経営管理・要求に対応と貢献が求められる

CDAO・CIO・CDOの職務を担う皆様は、言わば企業価値を持続的に高める参謀的役割が求められます。先読み困難な環境下でも、経営の舵取りを支援し、新たな価値構造を訴求すること。そのために企業内の膨大なデータを資産として活用することが求められているはずです。
複雑化・高度化する経営管理に対応するため、いろいろなCxOのラインから要望があるのではないでしょうか。

経営陣の願い「データドリブン経営を実現したい」

データプラットフォーム整備のスタートとしては、クラウド上にプラットフォームを構築し、ERPデータを全社的な統合によってマスターを整備し、事業単位でデータを活用できるように、各現場で計画に対する実績が把握できるように、BIに実装してダッシュボード化していくケースが多いかと思います。

図のようにダッシュボード(可視化)から始まり、中期経営計画でさまざまなKPIが挙げられる中で、PBR、ROE、さらに投資家は投資に対する効率を求める傾向が強くなっています。そのために投資効率を見るために事業単位・プロダクト単位のROIC開示を行うことで事業ポートフォリオのマネジメント、そしてデータドリブンによる意思決定を実現したいというニーズが経営陣で高まっています。

このようなニーズにIT部門としてどう応えるか、こうした課題に対するアプローチを今日はお話しできたらと思います。

経理・経営企画部門の課題

しかし全社的なデータプラットフォームを構築した企業でも、多くは経営管理のデータ活用が十分に実現できていません。日本CFO協会の調査によれば「各ビジネス部門からのデータ収集の仕組みがなく、手作業で収集」しているとの回答が62%に達しています。すなわちExcelを介したデータのやりとりがまだまだ多いわけです。

またERPからデータを集めても「データの粒度やフォーマットが異なるためにマッピング作業が欠かせない」といったデータチェックが発生し、本来の目的よりもデータ処理の準備に時間がかかっているという声を多くよく聞きます。

報告書作成の工程では、取締役会や経営会議または開示のために、多くの手作業が発生しています。経営者の求める粒度、つまり内訳や明細への質問に答えられず、工程が細分化するまたはどのデータが正しいかわからないなどのケースもよく耳にする悩みです。

アバントがご提供できること

ここで私どもアバントの成り立ちについて簡単に紹介させていただきます。

もとは連結会計システム「DivaSystem(ディーバシステム)」をご提供する株式会社ディーバが前身で、これまで上場企業を中心に1,200社に導入いただいてきました。2022年、アバントグループ内を再編し、連結会計から事業ROICやグループ企業の経営管理領域のニーズにお応えするため、そこを専業とするアバントという会社を独立させました。

現在アバントではグループ経営管理専業のシステムインテグレーターとして「DivaSystem」や自社製品の販売だけでなく他社製品の導入にも携わっています。
私どもアバントグループがこれまで培ってきたデータプラットフォームをグループ経営管理のファイナンス領域でご提供し、お客様の経営DXに貢献したいと考えております。

データドリブン経営の実現に向けたデータプラットフォームとは

ここまでの復習となりますが

 ● 事業別ROIC、セグメント別の業績を算出したいが配賦やセグメント情報の付与が必要でそのままのデータは使えない
 ● 事業部門が必要な分析軸が足りずデータ活用が進まない
 ● 求められる要件に会計的な要素が強く現場の理解・実装が難しい
 ● 予算管理に利用するには、データの加工や予算管理プロセスの見直しが必要
 ● 中期経営計画の実績や見通しを管理するためにPDCAを回したいが計画自体をExcelで収集している

こうしたお客様がまだまだ多くいらっしゃいます。一方で、予算管理のプロセスを見直し、ITの実装が必要だと認識されている方も多いでしょう。
そしてツールを導入していても正しく活用できていないというケースもあるので、どのようなプラットフォームなら、ドリブン経営の実現に向けた理想な形でデータ活用できるのかを考えてみます。

ドリブン経営を実現できるデータプラットフォームとは何か

ドリブン経営の実現に向けた理想的なデータ活用を検討するうえで、図にあるような3つの機能を実現できるデータプラットフォームが必要です。

1.つながる

グループ経営管理の中で「つながる」、つまり会計システムやERPまたExcelで報告されるデータ収集の効率化が最初のカギです。
Excelのデータをどのように簡単に入れるか、ERPや国内外のデータをどう連携するのかです。

2. 整える

集めたデータをデータストレージなどに集めた後、加工・集計をしていく中でどのようなETLツールを使えば、この実装が楽になるか、またはRPAが使えないのかを検討することも必要です。

3. 届ける

そして整理したデータが「統合データ」としてマスターになった後、コーポレート事業部門向けに展開するため、連結決算のため子会社データを自動的に連携したり、企業内のKPI管理を可視化したり、予算の見通しや事業セグメント別の管理会計に利用したりします。

多次元データモデルの考え方

データ管理の方法として、経営データプラットフォームには「多次元キューブ」というモデルが用いられます。

通常のデータベースに加え、グループ経営管理では次のような項目が必要です。

 ● 会計期間の時間軸
 ● 実績・予算など複数のシナリオ
 ● シナリオごとのデータの可変性
 ● シナリオ同士の比較
 ● 一次予算、二次予算とバージョン管理ができる
 ● 会社セグメントの分析軸
 ● グループ間の内部取引データ
 ● 持分比率のデータ

持分や内部取引は、連結会計システムの中にしかありません。したがって必ず連結会計システムのマスターを確認して、経営管理プラットフォーム上で横串の分析に利用することが求められます。さらに、図のデータモデルの絵にあるように、縦・横・高さの3つの分析軸で切り出した中で、金額や数量、文字情報を管理しなければなりません。

一般的には1つの分析軸しか持てないところ、多次元での分析が可能な状態が経営管理上に必要なデータの特徴です。

データドリブン経営を浸透させるソリューション

しかし従来のソリューションは “会計的な要素が強く、浸透・実装” が困難でした。

● 経理側が要件としてIT部門やシステム開発元に伝え、認識を合わせるのが難しい
● 経理で変更したくてもIT部門でしか対応できないので遅い
● 修正時に外注するとコストが増えて費用対効果が合わない

つまり、経理や経営企画で改修できるシステムが非常に少ないわけです。また専門知識が求められるために、プラットフォームがあっても実現方法がわからないというのも自明です。
効率化を前提としてスモールスタートしたため、高度化要件に対応できない設計になっていたというケースもよくあります。そしてどれほど先を見通して設計したとしても、M&A、会社分割や再編、経営者の交代など、経営環境はその都度大きく変わります。

したがって会計知識とITの素養を両方持った専門家による支援が最短ルートではないかというのが弊社の意見であり、私どもはそうしたコンサルメンバーが500人以上所属する、かなり特殊な組織ではないかと自負しております。

アバントのプロダクト(製品)による支援の内容

こうした課題に対するソリューションをご紹介させていただきます。

AVANT Cruise(アバントクルーズ)」は、次のような機能を備えた次世代型のグループ経営管理基盤です。
● 対象データの統合
● リアルタイム性
● セルフサービスでの修正
● シミュレーション強化 など

AVANT Cruiseでは、ユーザー自身がデータ収集画面を作成でき、グループ会社からのデータ入力を効率化できます。また、会計上の実装を自動化するETL機能や、ベストプラクティスのデータモデル、ビジュアライズされたダッシュボードを提供することで、経理や経営企画部門の方にも操作・運用しやすいシステムとなっています。

データのインプットについては、直接ERPから収集することも、データストレージと連携することも容易です。Excelデータが全くないという企業は少ないので、Excelファイルを収集する機能もついています。

次にデータの整形では、コード変換、名寄せ、分析事項の付与といった各社でほぼ共通の機能を実装していますので、自動でETL機能が使えます。

最終的なアウトプットも共通項が多いので、弊社がこれまでに支援した100社以上のお客様の実績に基づいて、あらかじめ経営データモデルを用意しています。レポートの自動作成、連結会計システムやCPM製品との連携も可能です。
一般的なBI製品では実現できない予算と実績の比較、シナリオ間の分析、一次予算と二次予算の差分なども簡単に表現することができます。

まとめ:アバントからの提言

最後に弊社からの提言として、データドリブン経営の実現に向けた「次の一手」についてです。

やはり専門ソリューションはシステムの完成度が高く、お客様のリソースの負担に大きな差が出ます。
経営管理のベースとなる財務情報に加え、長期的視点での企業の収益性や持続性を判断するために必要な非財務情報を集約し、データを整えて一元管理する経営情報基盤を構築しなければなりません。

私たちは、会計知識とITの素養を両方持った専門家集団として、お客様の経営環境の変化に対応できるソリューションを提供していきたいと考えています。データドリブン経営を実現するには、財務情報だけでなく非財務情報も含めたデータを整えて一元管理する経営管理用のプラットフォームが不可欠です。

アバントでは、「見えない企業価値を可視化する」をテーマに、引き続きお客様のグループ経営管理の課題解決に全力で取り組んでまいります。データの効果的な活用により、意思決定の質を高めることで、企業価値の向上に貢献したいと考えています。

本日はありがとうございました。今後もアバントへのご期待をよろしくお願いいたします。

【本記事の監修者】

株式会社アバント 代表取締役社長 執行役員 CEO 岡部 貴弘

<経歴>
1989年、株式会社オービックビジネスコンサルタントに入社。
2010年、現株式会社アバントの前身である株式会社ディーバに参画、取締役営業推進を担当。
アバントグループ内の株式会社ジールにおいて上席執行役員営業本部長、取締役、代表取締役社長を経て、
2022年、アバントグループの再編に伴い、株式会社アバント代表取締役社長 CEOに着任、
株式会社アバントグループの執行役員グループCOOならびに株式会社ジールの取締役会長を兼務。

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