投稿日:2024.09.24
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ノウハウ

事業部にとって「納得感のある KPI」を経営指標から設定する方法とは?

弊社アバントでは、グループ経営管理やそれを行うための ROIC といったキーワードでのセミナーを開催してきました。しかし、EPM/CPMソフトウエアを用いた単体の事業管理はできても、いきなり ROIC には到達できないと感じられている企業様も少なくないようです。事業管理のために多数の Excel ファイルが乱立している状況に苦労しているケースも多くお聞きします。

そこで今回は、Excel のシミュレーションから脱却するとともに、社内の各事業部が納得する KPI の設定方法の糸口を探るヒントをお届けします。

KPI 設定に関わるデータ収集・活用における課題

全社の経営指標を把握・分析するためには、事業に合わせ細分化した KPI 設定が必要です。
弊社開催のセミナーで実施したアンケート結果によると「KPI 設定に向けたデータ収集・活用における課題感」として、大きく以下の3つが挙がりました。

1. データ収集・蓄積後、既存データと不足データを掛け合わせた高度化に課題がある
2. グラフや数値でビジュアライズはできているが、そこからどう意思決定を進めたらよいか分からない
3. どのようなデータを蓄積したらよいか、またデータの溜め方がわからない

目標設定するためのデータ収集の段階で、Excel でデータ収集・管理するケースが多くの企業でみられます。
上記の課題を解決するためにどのようなシステムを利用すべきか、システム利用によってどのようなメリットがあるのかについて解説します。

課題1:既存データに不足データを掛け合わせた高度化に課題

日本の多くの企業では、EPM/CPMソフトウエアといった業績管理システムによって事業管理を行い、経営判断に役立てています。

※EPM/CPMに関する解説記事もあわせてお読みください。>>>EPM とは?導入のメリットや注意点、BIとの違いを解説

一方で、EPM/CPMを導入済みの企業でも、収集したデータだけでは不十分という声も聞かれます。
たとえば、以下のようなケースです。

『事業部と対話する際に、売上高という単一指標だけでなく、単価や数量、地域など細分化したデータが必要だが、現状は情報が不足している不足データを EPM/CPMの外で管理しており、Excel などの管理データをもとにシミュレーションを行っている。収集に手間を取られるため、分析に十分な時間をかけることができない』

そこで、経営ダッシュボードを利用すると、以下の 3 つの点からデータの高度化を実現できます。

データの深さ

全社の情報収集するにあたり、管理項目が PLや勘定科目、セグメントレベルにとどまっているケースはよくあります。
Excel で管理していた単価や製品などの非財務データをシステムに集約することで、売上シミュレーションや戦略策定に活かせるようになります。

データの広さ

EPM/CPMで管理する情報について、多くの企業が PL管理の領域にとどまっていて、BS情報や非財務データを統合しきれていません。
システムを用いると、PL情報よりさらにスコープを広げたデータの集約化が可能になります。

データの統一性

EPM/CPMを用いて全社のデータを統合するのは可能ですが、事業ごとのカスタマイズを実施しづらいのが難点です。
システムを組み合わせることで、EPM/CPMのデータ構造の強みを生かしながら事業ごとに柔軟に作り変えになるなど、試行錯誤しやすくなるメリットがあります。

課題2:ビジュアライズの先にあるシナリオ策定やシミュレーションに着手できていない

次に BI 製品を導入済みで、データの可視化はできているケースを考えます。

グラフや数値によるビジュアライズはできているものの、次の一手を判断するためのシナリオ策定・シミュレーションまでは進められていない点が課題です。
全社規模の経営指標から様々な事業タイプを展開している企業の場合、全社展開するハードルが高く、断念しているケースも見られます。

意思決定のためのシナリオ策定・シミュレーションを行う

BI は決まったデータを集めてレポートを作成するのに長けていますが、予測や事業再編に合わせたシナリオ策定・シミュレーションを行うのは困難です。

各種データを Excel で集約している企業は、収集で手一杯になってしまうケースが多いため、システムにデータ収集や蓄積を行わせることで、管理やシミュレーション・シナリオ策定にパワーを投入できます。

課題3:どのようなデータを集めるべきか、またデータの溜め方がわからない

最後に、そもそもどのようなデータを集めるべきか、また収集したデータの溜め方が分からないケースです。
事業部とコーポレートが同じ目線で対話するには、以下を整理する必要があります。

『データを溜めることで何が明らかになり、どのような意思決定ができるのか』
『意思決定をするために必要なデータは何か』

経営が俯瞰する多軸観点での差異分析が重要

単なる売上分析を例にとっても、なかには以下のような細かな各種データが含まれます。

● 顧客
● 製品
● 販売数量
● 販売単価
● 製造原価
● 運賃/物流費
● 販管費

これからデータ収集・蓄積を始める方にとっては、
”数多くの種類があるデータから、どのような軸で集計・可視化すれば、現場の効果的な改善アクションにつながるのか”イメージがしづらいでしょう。
Excel 管理では 、1 からの検討・構築が必要になりますが、システムを使うとあらかじめ用意されているデータモデルやテンプレートを参考にしながら調整できます。

KPI モニタリングの必要性

コーポレートと事業部との対話を実現するための KPI をどう設定するのか。
経営指標を可視化し、何らかの KPI を設定しただけで終わりではありません。進捗や推移の把握・着地予測といったモニタリングを続けて精度をあげていくことが重要です。

モニタリングには一定期間が必要なため、Excel 管理からシステム化に移行しきれない企業も多くいます。そのため、まず Excel で管理を始めて、その後移行することを目指すのではなく、はじめからシステムを導入し、システム内でデータベースを構築することをおすすめします。

たとえば、KPI 数値が変更されるときや、複数のシナリオを作成して比較したいとき、Excel 管理では管理ファイルが分かれているなどして即座に再集計するのが難しいですが、システムであれば自動でデータベースをつなぎ直し、容易に対応できます。
シナリオの比較や数年分のトレンド把握を続けながら、KPI の有効性に関する試行錯誤を繰り返すことが、事業部との納得感のある KPI を作り上げることにつながるでしょう。

※一元管理に関する解説記事もあわせてお読みください。>>>一元管理とは?企業経営における管理の対象や行うメリットなどを解説

まとめ

Excel を利用し力技で作業を行ってきた企業も、成長とともに、事業が増えるとともに、データ管理はより複雑になります。
上述したように、企業のフェーズによって直面している課題は異なるが 3 つに大別できます。管理システムを導入することで、それぞれのフェーズに合わせたメリットがあります。検討する際の参考にしてください。

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