投稿日:2024.09.30
投稿日:2024.09.30

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ノウハウ

シリーズ:仕訳明細で実現する製品別・顧客別の多軸分析【第3回】仕訳明細による多軸分析の未来~データドリブン経営への展望~

「多軸分析の重要性と仕訳明細活用の可能性」

【第3回】仕訳明細による多軸分析の未来~データドリブン経営への展望~

全3回でお伝えしているシリーズ最終回となる今回は、仕訳明細による多軸分析の未来と、それがもたらすデータドリブン経営の可能性について解説します。

技術の進歩と企業のニーズの高度化に伴い、仕訳明細を活用した多軸分析はさらなる進化を遂げつつあります。
この進化が企業経営にもたらす変革の可能性は計り知れません。あらゆる組織において収集しやすく、豊富な項目の情報が含まれる仕訳明細をどのように分析するか、その高度化に着目し、経営戦略に与えるインパクトを考えます。

※第1回「多軸分析の重要性と仕訳明細活用の可能性」、第2回「仕訳明細を活用した多軸分析の実践」もあわせてお読みください。
シリーズ:仕訳明細で実現する製品別・顧客別の多軸分析【第1回】多軸分析の重要性と仕訳明細活用の可能性
シリーズ:仕訳明細で実現する製品別・顧客別の多軸分析【第2回】仕訳明細を活用した多軸分析の実践

仕訳明細から行う多軸分析の発展の可能性

経営スピードが高速化を続ける中で、多軸分析はますます重要になると考えられます。仕訳明細の活用が発展し、企業の意思決定がよりデータドリブンな環境で行われることで、経営管理は高度化され、そして競争力の強化につながることが期待されます。

より詳細な製品別・顧客別分析の実現

現在の多軸分析でも、あるレベルまで製品別・顧客別に検証することが可能ですが、今後はさらに粒度の細かい分析が実現すると予想されます。

たとえば、製品の個別構成要素レベルでのコスト分析や、顧客の行動パターンに基づいたミクロセグメンテーションなど、これまでとは単位が異なるレベルまでデータをチェックできるようになるでしょう。

データを使いこなして、分析および仮説が立てられる企業が、製品開発や顧客戦略においてより優位に立てる可能性が高いといえます。

予測分析との連携

現状の多軸分析は、主に予実管理において過去データの分析にスポットが当たっていますが、今後は予測分析との連携が進むと考えられます。

すなわち、過去のトレンドと現在の状況をもとに、将来の業績や市場動向を予測し、先手を打った戦略立案が可能な世界です。予測能力が向上することで、企業としての戦略立てにおける優位性を高められるでしょう。

リアルタイム分析の実現

今後、計算処理スピードの向上などによって、リアルタイムでの多軸分析が可能になると予想されます。

これにより、日々の業務における意思決定のスピードと質が大幅に向上し、市場の変化にもほぼ即座に対応することが可能になるでしょう。

特に変化の激しい業界において、即時性に応えられない企業は、他社と比べて大きなハンディキャップを負うことになりかねません。信頼性が担保されたデータの高速収集がますます重要となります。

経営戦略への活用

多軸分析の高度化は、経営戦略の立案と実行にも大きな影響を与える要素です。

戦略立案やシナリオの設計など、より本質的な議論で多軸分析の結果が活用されることで、より精緻で効果的な経営戦略の構築および実行が可能となります。

データに基づく戦略立案プロセス

多軸分析により得られた詳細かつ多面的な情報を基に、より精緻な戦略立案が可能になります。
データドリブンな経営判断を実現するための大きな後押しになることでしょう。

シナリオプランニングとシミュレーションの高度化

多軸分析により、複雑な要因を考慮した高度なシナリオプランニングとシミュレーションが可能になります。
より現実的で詳細な将来予測が可能です。

シナリオプランニングについてはこちらの記事で詳しく解説しています。経営戦略に重要なシナリオプランニングとは?メリットや手順を解説
 

パフォーマンス管理の進化

多軸分析の高度化により、より精緻なKPI設定とパフォーマンス管理が可能になります。
これは、組織全体の効率性と効果性を高めることにもつながります。

グローバル経営管理への展開

多軸分析のグローバル経営管理への応用も重要なテーマです。通貨や言語をはじめ、さまざまな法律の違いなどを乗り越えられれば、グローバル経営管理に対するハードルが下がるのは間違いありません。

多通貨・多言語対応の課題と解決策

グローバルな事業展開に伴う通貨換算や言語の違いを、システム的に解決することで、グローバル企業の経営管理の複雑さが大幅に改善されます。

グローバルな規制対応の方法

各国・地域の会計基準や税制の違いを考慮した分析が可能になります。
これにより、コンプライアンスリスクを低減しながら、効率的な国際経営が可能となります。

グループ全体の最適化に向けた取り組み

グローバルな視点でのリソース配分や投資判断を支援します。
これにより、グループ全体としての効率性と収益性が向上します。


なお、アバントのグループ経営管理システム「AVANT Cruise」は、これらのグローバル経営管理のニーズに応える機能を備えており、多国籍企業の経営管理を包括的にサポートしています。

まとめ

仕訳明細を活用した多軸分析は、企業経営に新たな可能性をもたらします。

その潜在力を最大限に引き出すためには、技術の進歩に合わせて分析手法を進化させると同時に、組織全体のデータリテラシーを向上させ、データドリブンな文化を醸成することが重要です。

仕訳明細を活用した多軸分析の進化は、企業の競争力強化に直結します。しかし、技術の導入だけでなく、人と組織の変革が不可欠です。データの質の確保、分析結果の適切な解釈、そしてそれに基づく迅速な意思決定と行動が求められます。

激変する経営環境の中で持続的な成長を遂げるためには、多軸分析を含むデータ活用の取り組みを継続的に改善し、学習し続けることが必要です。

【本記事の監修者】

株式会社アバント 
グループ経営管理事業部 ビジネスマネジメント部 中澤 良平


<経歴>
大手Sier~外資系コンサルファームを経て現職。製造業を中心とした基幹システムから経営管理・管理会計システムの導入が専門。主な役割は各種提案、構想整理コンサル、プロジェクト推進責任者など。多数のお客様にて、構想整理から要件定義~構築、本稼働後の保守支援含め一気通貫で対応。

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