シリーズ「会議資料作成が不要になる未来とは?」後編:分析の課題と解決ポイントを解説
グループ経営においてスピーディで正確な現状評価と分析が重要です。事前に最新データを揃えるだけでなく、様々な視点からいかに深く分析できるかで、経営会議における意思決定の質が向上することは間違いありません。当然ながら、次のアクションプランの質にも影響し、業績や企業価値にも影響が出るでしょう。
多くの企業が分析・アクションを思うように進められていないと現状を捉えている一方、これらの改善をサポートするBIやCPMに注目が集まっています。前編ではこのBIやCPMの機能について解説しました。
※『シリーズ「会議資料作成が不要になる未来とは?」前編:BI・CPMの違いを解説』もあわせてお読みください。
シリーズ「会議資料作成が不要になる未来とは?」前編:BI・CPMの違いを解説
後編となる本記事では、以下を解説します。
● 経営分析・アクションにおける課題
● 分析・アクションにおける経営ダッシュボードの活用ポイント5つ
経営データの分析・アクションにおける課題
経営に必要な各種データを分析し、経営会議で次のアクションを検討するにあたり、現状国内企業の多くは、PowerPointやExcelで運用しています。
なぜCPMなどのシステムを導入しないのか、ヒアリングするとシステムの運用について以下の課題が挙がりました。
● 経営層から求められるスピード感に対応できない
● 組織構造の変化によるフォーマット変更に対応できない
● 詳細な分析ができない
● データが散らばっていて、一元化されていない
これらの課題が生じる根本には、最初のデータの持ち方や管理の定義が目的とずれてしまっている問題があります。
分析・アクションにおける経営ダッシュボードの活用ポイント5つ
ここからは、実際にシステムでの運用における課題の根本となる問題を5つ挙げ、それぞれ経営ダッシュボードでどう解決できるのか、ポイントを解説します。
1.経年のマスタ管理
《課題》
組織・事業は常に動いていくのに対して、定期的に変わる前提のマスタ構造になっていないケースが多くあります。そのため、何かしら変更が生じた際にスピーディに対応できません。
《ポイント》
経営ダッシュボードでは、事業部と事業、地域(所在エリアと所在国)などを階層情報としてマスタで管理できます。
そのため、特定の組織や事業移管が発生した場合には、マスタデータを修正すれば関連するレポートはすべて自動反映されます。新たに数値を取り直したりシミュレーションを作り直したりする必要はありません。
2.データ加工の自在性
《課題》
経営会議では、直近3年間の月間売上高など、一定期間のトレンドを見る場面がよく発生します。PowerPointやExcelで運用する場合、期間や集計単位ごとにその都度、資料を作り変えなくてはなりません。
《ポイント》
経営ダッシュボードを使えば、期間を画面上で切り替えることができ、さらに地域別や事業別といった集計軸も柔軟に変えながらデータを参照できます。
経営会議での会話に合わせて、さまざまな切り口のレポートをその場で確認できるため、会議内で新たな気づきが生まれるでしょう。
3.事業横断の管理軸
《課題》
さまざまな事業を展開している企業内では、事業ごとの比較やグループごとの比較が必要になります。その際、見られるデータの粒度やフォーマットが事業によって異なっている状態では、簡単に比較や分析ができません。
《ポイント》
経営ダッシュボードでは、あらかじめ事業横断の管理軸を定義することで、事業を横並びで比較できます。事業・会社・地域・国内外など比較対象を画面上で切替えでき、期間も前年のデータと同じ画面から切り替えて見ていけます。
各事業で同じ評価軸で比較ができるため、透明性の高い事業運営にも繋がります。
4.シナリオ策定を含めたシミュレーション
《課題》
多くの企業では、Excelでシナリオ作成し、結果をPowerPointで作成した経営会議資料に貼り付けています。その場合、最終的なPowerPointの資料は手元にあるものの、大元のExcelデータは残っていないというケースがよく起こります。
《ポイント》
経営ダッシュボードでは、過去のシナリオデータを蓄積していけるのが特徴です。
前提としてシミュレーションは、実績値だけではなく、予算や見通しも含めて作る必要があります。
例えば、以下のような実績で変動がありそうな項目は、画面上で予測値を入力して別のシナリオとして作成・比較ができます。
● 売上高
● 人件費
● 材料費
● 宣伝費
● 為替
また、シナリオに手を加えて上振れ・下振れの予測をしたい場合、既存の見込みデータを書き換えることなく、その場で数値を入力し既存シナリオと比較できる画面を作成可能です。
シナリオをただ作るだけでなく、シナリオ同士や実績値との比較をスピーディに行えるため、PDCAサイクルを回しながらシナリオ策定や分析の質を向上できます。
5.管理資料の形でつくる仕組み
《課題》
一つの表やレポート内で金額データと非財務データ(人数・数量など)を並べて集計・表示したいとき、BIではそもそも機能として非財務データを含めた集計ができません。
《ポイント》
勘定科目だけでなく販売数量や人数など非財務データも含めて入力・蓄積していけるのも、経営ダッシュボードの大事な特徴です。同じレポート内で横並びの集計・表示が可能です。
まとめ
この記事では、経営会議を有意義にするための、経営ダッシュボードの機能について紹介しました。これらを活用すれば、あらかじめ多角的な分析ができるうえに、会議中に対話しながらデータを柔軟に切替えてみていけるので議論が止まることがありません。
資料作成や管理の手間をなくし、その分議論や分析、次のアクション検討へ集中するのが事業・組織にとって理想的といえるでしょう。
この機会に、経営ダッシュボードの導入、活用を検討してはいかがでしょうか。