データレイクとは?メリットやデータウェアハウスとの違いを解説
あらゆる場面でデータの取得が可能となった現代では、日々膨大なデータが生成されています。
経営や日常業務の意思決定において、さまざまなデータをどのように活かしていくか、試行錯誤している企業も少なくないのではないでしょうか。膨大なデータを活用・分析する上で、注目を集めているのが「データレイク」です。
本記事ではデータレイクの概要やその必要性、メリット・デメリットなどの他、データウェアハウスとの違いについて解説します。
1)データレイクは、さまざまな形式のデータを格納できる貯蔵庫
データレイクとは、さまざまなソースから収集した多様なデータを、加工せずに格納できる貯蔵庫(リポジトリ)のことです。
企業が扱うデータの形式はさまざまです。中でも、XMLやCSV形式のデータを「構造化データ」、文書や画像、動画形式のデータは「非構造化データ」と呼びます。
データレイクは、構造化・非構造化といったデータの形式を問わず、そのままの形式で、長期間の保管・蓄積ができることが大きな特徴。そのため、ビッグデータ分析やリアルタイム分析に加え、機械学習など、目的に応じてデータを柔軟に変換しながら分析できるのです。
2)データレイクはなぜ必要なのか?
企業のIT化とDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む中、データレイクの必要性が高まっています。主な理由は次のとおりです。
膨大なデータを適切に管理・活用するため
データレイクが必要とされる理由の一つは、日々蓄積されていく膨大な量のデータを適切に管理し、活用するためです。
現在は、IT化やデジタル技術の進歩など、あらゆる場面でデータ取得が可能となり、企業が扱うデータも多様化しています。こうした増加する多様なデータを一元管理し、活用するための土台を整えるためにデータレイクが必要なのです。
経営に関する精度の高い意思決定を行うため
経営に関する精度の高い意思決定を行うためにも、データレイクは欠かせません。
現代は、不確実で複雑な時代であり、将来の予測も困難です。変化の激しい環境下で、企業が迅速かつ適切な意思決定を行うには、経験や勘といった抽象的なものだけに頼らず、客観的事実を整理し、データに基づいた分析や予測を行うことが重要になります。
データレイクを活用することで形式の異なるデータを一元管理でき、スピーディーな分析や予測が可能になるでしょう。
データマイニングの準備が必要なため
データレイクは、データマイニング(Data mining)の準備につながる点でも重要とされています。データマイニングとは、収集された大量のデータから有用な情報や傾向、法則性を見出す技術のこと。データマイニングを活用できれば、日々蓄積される大量のデータを意味のある情報に変換し、意思決定に役立てることもできます。
3)データレイクを利用するメリット
データレイクを利用するメリットとしてはどのようなものがあるでしょうか。主な3つのメリットについて解説します。
データの形式を問わず格納できる
データレイクを利用するメリットの一つは、さまざまな形式や構造のデータを、加工せずにそのままの形で格納できることです。
企業が扱うデータは多様ですが、部門によって扱うデータ形式が異なるケースも少なくありません。そのため、部門をまたいだ情報を取り扱うためには、加工が必要になるケースもあるでしょう。データレイクはデータの形式を問わずそのまま格納できるため、組織内の横断的な情報共有も可能となります。
また、必要なタイミングでデータを取り出し、その都度、分析の目的に合わせて形式を加工することもできます。
大量のデータを一元管理できる
データレイクは格納できるデータ形式を問わないことに加え、大量のデータを一元管理できることもメリットです。
組織によっては部門ごとにデータの格納先が異なるケースもありますが、データレイクによって保管場所を集約できます。構造や形式ごとにデータを管理する場合に比べ、大幅に管理コストを削減できるでしょう。
また、データの一元管理ができることで、分析等で必要な際に参照したり取り出したりする際の手間も軽減できます。
多種多様なデータを用いた分析が可能となる
データレイクには多種多様なデータが格納できるため、それらを用いた多角的な分析が可能になります。
例えば、機械学習から、異なる形式のデータを組み合わせた高度な分析を行うことで、将来の業界動向を予測したり、ビジネスの意思決定をサポートしたりといったことが期待できるでしょう。BIツールなど他のツールとの連携もできるため、データの活用方法も広がります。
また、データレイクでは、リアルタイムでデータの取り込みや分析を行うことも可能です。リアルタイムでデータを収集することで、最新の情報を基に、経営や事業運営に関わる意思決定を行うことができます。
4)データレイクを利用するデメリット
ここまでデータレイクを利用するメリットを挙げてきましたが、デメリットもあります。メリット・デメリットの両面を理解した上で、データレイクを利用することが大切です。
データスワンプに陥る可能性がある
データレイクの有用性を発揮・維持するためには、データスワンプ(データの沼)に陥らないことが重要です。データスワンプとは、データが無秩序に蓄積されて管理が難しくなる状態を指し、データレイクの対比語としても用いられます。
データレイクには、多様なデータをそのまま格納できるため、柔軟性の高いデータ管理が可能です。しかし、適切な管理が行われなければ、データスワンプに陥り、どこにどのようなデータがあるか分からなくなってしまいます。その結果、分析の際に必要なデータの所在が分からない、そもそも何の目的のために生成されたデータなのかが分からない、といったことが起こる可能性があるのです。
保管期間が長くなるほど、データの生成目的や活用方法が不明瞭になるため、データスワンプに陥るリスクが高まるでしょう。
データレイクを導入する際には、データの管理・分析方法などをあらかじめ検討しておき、データの価値を損なわない仕組みが必要です。組織内のデータ管理体制を統制するルールとしてデータガバナンスを設け、それに従ってデータを管理・運用するデータマネジメントの取り組みが重要だといえます。
データの分析に手間がかかる
データレイクは多角的な分析を可能にする一方で、分析に手間がかかるケースもあります。なぜなら、データレイクには構造化・非構造化問わずさまざまな形式のデータが混在しており、必要なデータを特定したり分析に適した形に加工したりする手間がかかるためです。また、データの加工には知識やスキルが必要とされるケースも少なくありません。
データレイクに保管したデータの分析をスムーズに行うためには、他のツールを導入・活用することも一つの手です。例えば、データ品質の向上につながる「データクレンジング」が行えるツールを活用することで、分析の手間を軽減できるでしょう。
5)データレイクとデータウェアハウスの違いとは?
データレイクと混同されやすいものとして、データウェアハウスもあります。データレイクもデータウェアハウスも、大量のデータを格納し、管理するという点では同じです。
ただし、データウェアハウスは取り入れるデータ形式を事前に定義する必要があり、主に規則性を持った構造化データしか格納できません。その分、目的別や時系列順にデータを整理・構造化しやすいため、高い検索性がメリットです。また、すでにデータが整理されていることから、データレイクのデメリットとしてお伝えしたデータ分析の手間も軽減できます。
一方で、データレイクは構造化データも非構造化データも、元の形式のまま一元管理することができます。そのため、データの収集と蓄積を得意とし、企業が持つさまざまなデータを保管する格納庫として有用です。
データレイクとデータウェアハウスの特徴や役割の違いは次のとおりです。
なお、データレイクとデータウェアハウスは、どちらが良い悪いではなく、目的に合わせて使用することが大切です。
例えば、未加工のデータはデータレイクに格納しておき、効率的な分析やレポーティングが必要なものは、データを整形・加工してデータウェアハウスに保管しておくなど、用途に応じて使い分けましょう。
6)データレイクの活用で企業の競争力を高めよう
IT化やデジタル技術の進歩などにより、企業が取り扱う情報量は大きく増加しています。同時に、機械学習の発展など、データを最大限活用できる環境も整ってきました。
経営や日常業務の意思決定でデータを活用して企業の競争力を高めるためにも、データレイクの活用は、ますます必要になっています。増加する多様なデータを一元管理し、活用するための土台を整える際には、データレイクの導入を検討しましょう。
なお、現在データが散在しており、データの収集から報告まで多くの時間を要しているという課題をお持ちの方には「AVANT Cruise」がおすすめです。
「AVANT Cruise」は、アバントがグループ経営管理専門領域で培ったノウハウを最適な形でパッケージ化した、グループ経営管理システム。導入することで、経営管理に必要な財務情報と非財務情報を一つのシステムで統合し、経営層に必要な情報を提供することも可能になります。
企業価値向上や経営管理高度化の実現のためにも、ぜひ導入をご検討ください。
・「AVANT Cruise」については下記をご参照ください。
AVANT Cruise