連結決算・開示

連結決算・開示とは

連結決算とは

親会社と子会社などの支配従属関係にある複数の会社から構成される企業集団を、単一の組織体とみなし、親会社がこの企業集団の経営成績および財政状態を報告するための連結財務諸表を作成する会計処理のことを連結会計といいます。

連結決算制度の導入

従前は親会社単体の財務諸表(単独決算)の方が重視されていましたが、連結財務諸表の重要性が増し、2000年3月期決算から証券取引法(現・金融商品取引法)におけるディスクロージャー制度の改正が行われ、現在ではグループ企業においては連結財務諸表が開示情報の中心となっています。

連結決算・開示で求められること

期日内の確実な業務遂行

経理部門などで連結決算を担当される部門において、開示期日内に適切な内容で各種書類を開示することは最重要ミッションとなります。

しかし、事業成長に向けた様々な戦略によるM&Aや事業再編、グループ会社の資本異動などに伴い複雑な会計処理が必要となり、また数十社を超えるグループ会社の報告資料のチェック、経営層への説明や監査法人の監査対応など、連結決算業務は極めて難易度の高い業務となります。

そのような高難易度の業務を、特定の担当者に依存することなく且つ継続的に期日内に遂行し続ける体制・仕組みづくりは上場企業における重要課題となります。

主な開示書類

開示書類 開示時期 提出先 作成する連結財務諸表 準拠する法令
決算短信 決算期末後45日以内

(30日以内が望ましい)

証券取引所 連結貸借対照表

連結損益計算書及び連結包括利益計算書

連結キャッシュフロー計算書

連結株主資本等変動計算書

注記事項

取引所規則
計算書類等 株主総会開催日の2週間前まで 株主 連結貸借対照表

連結損益計算書

連結株主資本等変動計算書

連結注記表

会社法
有価証券報告書 事業年度末から3カ月以内 財務局(金融庁) 連結貸借対照表

連結損益計算書及び連結包括利益計算書

連結キャッシュフロー計算書

連結株主資本等変動計算書

注記事項

金融商品取引法
四半期報告書 各四半期末後45日以内 財務局(金融庁) 四半期連結貸借対照表

四半期連結損益計算書及び四半期連結包括利益計算書

四半期連結キャッシュフロー計算書(第2四半期のみ)

四半期連結株主資本等変動計算書

注記事項

金融商品取引法

※2023年3月14日に国会に提出された「金融商品取引法等の一部を改正する法律案」によると2024年4月1日より、非財務情報の充実に向けた取り組みと併せて、企業開示の効率化の観点から、四半期報告書が廃止され、四半期決算短信に一本化されるとともに半期報告書の提出が求められるようになる見込みです(経過措置あり)。今後四半期決算短信への一本化及び半期報告書導入に伴い、新しい論点が生じる可能性があります(2023年6月21日現在)
参考:金融庁 第211回国会における金融庁関連法律案

連結決算・開示業務でよく伺う取り組み

業務プロセスに関する論点

  • 自動化率向上と業務プロセスの標準化

    • 難易度が高い業務ですが、一方で連結決算・開示業務は実務指針に沿ってルール化されており、大部分の会計処理は自動化が可能で、また開示までの一連の業務プロセスについても標準化することが可能です。

  • 早期開示(翌月内開示)

    • 決算発表は「決算期末後30日以内がより望ましい」とされていますが、実際に決算月の「翌月内開示」などを目標とした早期化に取り組まれるお客様は多数いらっしゃいます。

    • 早期化を行うためには子会社側の業務も含めて決算業務全体の課題を洗い出す必要があり、その過程でグループ経営管理の体制・仕組みも整備されるため、「翌月内開示」を継続できることは投資家など外部からの評価にもつながります。

  • グループ会社データ収集の自動化・効率化

    • グループ会社が数十社を超え、また世界各国に点在していると、各社から報告される財務情報のとりまとめや、誤謬のチェックは非常に膨大な業務となり、決算業務期間の大部分を占めることとなります。

    • 異常値検出などのチェックの自動化や、そもそも個社会計システムからのデータ連携など、課題の内容・優先度に応じて様々な対応事例があります。

個別論点

  • グループ会社間取引(内部取引)

    • グループ会社間取引(内部取引)は連結決算を行うほぼ全ての企業において業務負荷上の論点となり、連結会計システムを導入する際はこの業務の自動化率が導入効果に大きく影響します。

    • グループ会社間の損益取引や債権債務残高を相殺消去するわけですが、認識違いや計上漏れなどが要因となり二社間での消去金額が異なること(不突合)が多々発生し、不突合金額についての調査・修正が必要となり、以下のような対応が想定されます。

    • そもそも不突合が発生しない仕組みを構築。

    • 金額的重要性を考慮し、一定金額以上の不突合のみ調査・修正を行う。

    • 四半期決算に先立ち、月次単位で内部取引の不突合金額の調査・修正を行う。

  • 事業セグメントの変更

    • 事業ポートフォリオ、ROIC経営など、事業セグメント単位で連結数値を作成することの重要性が高まっていますが、これに伴いセグメント体系の見直しも行われます。

    • 新しいセグメンテーションの検討過程では、過年度データを用いて複数のパターンでシミュレーションが行えるかどうかは重要なポイントとなります。

    • また、セグメント体系の変更直後の四半期決算では、新しいセグメンテーションでのセグメント情報の作成が必要になり、変更の内容によってはさらに過年度のセグメント情報の遡及修正再表示も必要となるため、短期間で膨大で複雑な業務が発生します。

  • サブ連結

    • 子会社がさらに孫会社を保有し子会社としての連結決算を行うケースがありますが、これをサブ連結と呼びます。

    • M&Aで取得した子会社が既に連結決算を行っている場合や、グループ規模の拡大・再編などに伴い業務効率化の観点で段階的に子会社で連結決算を行う場合など、事情はいくつかありますが、可能な範囲で会計処理や勘定科目体系などを親会社と統一しておくか、または即時に組み替えができる仕組みにしておくことが重要となります。

    • 子会社のサブ連結を親会社と同一のシステム上で行うことも一つの対応策となります。

  • 連結キャッシュフロー

    • 連結財務諸表の中でも連結キャッシュフロー計算書はその構造が複雑であり、Excelでの作成の場合、簡便法(二期分の連結精算表から増減を取得する方法)で作成しているケースがほとんどです。

    • 原則法(各社の個別キャッシュフローを作成後に合算・連結消去する方法)は、Excelでの作成はとても難易度が高いのですが、連結精算表をシステムにて作成している場合、システム内で保持している情報から原則法による連結キャッシュフロー計算書をほぼ自動で作成することが可能となります。

    • 従来は開示が主目的であったため、簡便法か原則法かによらず効率の良い方法が採用されていましたが、ROIC経営をはじめキャッシュフローの重要性に改めてフォーカスがあてられており、より詳細な分析を行える原則法で連結キャッシュフローを作成することは企業価値向上の観点でも有用といえます。

連結決算・開示業務におけるアバントの提供価値

実務指針×他社事例

日本を代表する数々のお客様への導入実績と、連結決算を専門領域とし蓄積してきた知識、そこからご提供できる「多くの大手上場企業が採用している方法」は連結決算のデファクトスタンダードであり、これをプロダクトやソリューションとしてさらに展開し続け、連結決算領域に貢献し続けるのがアバントの提供価値です。

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